第160話入道雲は我先にと蒼空を賑わし

入道雲は我先にと蒼空を賑わし

流れる風は心地好く時を奔らせた


今好き好きに陽を翳に目隠しすると

鳴き疲れた空蝉が眠り転げるが


この手に配する風車はひとつ

壊れもしイロを亡くすだろうて

時の風夏、大輪の風花として


闇夜であろうと子の掌を握る、

吐息で廻れ偽りの夢に

沈む哀れな蛾は散った

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