初めての学校ー4
「ありがとう、本当に基礎的な部分から分からないんだ、というのも俺この間、魔族に襲われてほぼ記憶を失っちゃってさ―――」
了承してくれたことに対してつい口が軽くなり、周囲の勘違いから設定した俺の現状を話すと、石井さんは目を見開き驚きの表情を見せた。 その表情をみて木乃美さんに釘を刺されていた事を思い出す。
あっ、ヤバッこれ言っちゃいけないやつだった。 たしかバレたら、警護不備とかで国際問題になるんだっけ? まあ、言ってしまったものはしょうがない開き直ることにしよう。
「石井ちゃん、今言ったことは他言無用でお願いしていいかな、世間にバレたら俺の周囲の人達に凄く迷惑が掛かるんだよね」
「あっ……はい、もちろん…です」
良かった。 何とかなりそうだ、聞き分けのない子ならどうしようかと思った。
「まあ、そういった理由で記憶的に覚えていることが少なくてさ、実のところ一般常識すら怪しいんだよね」
「一般常識すら…ですか? あの……それじゃあ…生活に支障が……出るのでは?」
「そうだね、実際、目覚めてからまず覚えようとしたのは、この国の常識だったよ」
これは、かなり苦労した。 俺の世界の常識が全くと言っていいほど通用しない世界観だったために、軽くカルチャーショックを受けたほどだ。 だが、その甲斐あってこうして普通に学校という機関に通えるまでに一般常識を身に付けることができた。
……まあ、椎名が側でフォローしてくれることが大きいのだが、この際それは置いておく。
「じゃあ早速だけれど勉強教えてもらってもいいかな?」
「はい、喜ん…で」
先ほどまでの暗い顔ではなく笑顔で答えてくれた。 本当に石井ちゃんは勉強が好きなんだな。 でなければ喜んでなんて普通は言わないだろう。
カバンの中からプリントを取り出して教えてもらう。 プリントの内容は今日の復習と簡単な問題が数問とのことだったのだが、そもそも俺は機械や電気といった物が存在しない世界から来た。 当然理解するには一つの問題でもかなり、かみ砕いて説明してもらわないといけない。
だが流石学年トップなだけあって教え方も抜群に上手かった。 問題に対する理解できない部分をピンポイントで説明してくれて学の無い俺でもなんとか数問解くことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます