勾留
「悪い夢だった……」
堅いベッドの上、手足をふんと伸ばした。久しぶり、ぐっすりと寝た気がする。身体に疲れはなく、気分もすっきりしていた。これまでのことを思いおこしてみた。朝起きて、農作業の途中で山岸から電話があって、豊平川へ。
「それからえーと。なんだっけ?」
前言を撤回。記憶はあいまいのようだ。自分のベッドで寝た記憶がない。そのまえに家に戻った覚えがない。寝ようとして、オヤジのメールで起こされたの恨み記憶してるが。
室内はほんのり暗かった。夜か。時間が知りたい。オレの枕もとには小さな書籍棚がある。本を読みながらの寝落ちが好きなのだ。そこは、スマホと
手でを伸ばして探ったが、ない。どちらに触らない。というか本棚がなかった。指が触ったのは硬質なクッションの感触。ぷいっと押せたのは表面だけ、硬い反発で押しとどめられた。そこで本気で目が覚めた。身体をおこし部屋を見回した部屋には、寝ていた簡素なベッドのほかは何もない。そもそも部屋の色が、オレのコンテナハウスじゃない。ピンクってなんだよ。いったいどこだ。
『あきれたなー。こんな鈍い人間に遭ったのは、初めてだぜ』
「は?」
頭の中に声が響いた。聞いたことのないオッさんの声だ。
『お前なあ、俺がせっかく協力してやってんのに、サツに捕まるとかアリか? ヘタッピか? 運動音痴なのか?』
右をみた左もみた。下も見た。何もないし誰もいない。も一度見回してみるが、やっぱり人はいない。あるのは、硬質繊維の床と鉄の柵、いや鉄じゃなくて樹脂か。柵というより格子。4条半くらいの空間だった。壁の最上部にゴシック体で”18”という数字があった。格子の外には通路。対面に似たようなピンク部屋が並ぶ。この絵ずらには見覚えがあった。古い刑事ドラマに登場するテッパンの場面。
「ろ、牢屋?」
『”ろうや?”じゃねーだろ!』
「牢屋じゃないのか?」
『いや、牢屋には違いねーよ。チガわねーが、順番ってもんがあるだろ。人がいないのに声がしてんだぜ。驚くよな。ビビるよな? 驚いてあたふたして、幻聴を疑って、声の主を探そうとするのが、標準的なヒューマニズムな対応だ。何を言いたいかわかるよな。俺を見つけるのが先だっつってんだ! ったく……疲れるぜ』
「そうは言ってもなあ。牢屋ってのは十分にショッキングだぞ。見当たらない声よりも重要だ」
声はすれどもなんとやら、だ。目から耳をスッポリ覆う
「オレはまだ、見果てぬ夢のなかにいるのかもしれない」
『妙にポエム奴だな……上見ろ、上』
「上?」
『上だ』
「その次は下で、右見て左見て、、、”バカは見るー”とか言うつもりか」
ずいぶんと手の込んだレム睡眠だな。その手には乗らん。オレは、がっと腕を組んで、固く目を閉じた。
『何と戦ってんだ。捻くれてんなー。そんなの、いまどき小学生でもおもいつかねーよ。お前……右足について知りたくないか? 親切をモットーとする俺が、親切にも教えてやってもいいが』
親切を連発する奴にロクな人間はいない。夢を形成してるオレがそういうんだから、間違いない。うん。しかし右脚か。
「そういえば。いきなり足が動くように……」
『……無視すんなよ』
右脚を持ち上げてみた。動く、それも軽く。夢にありがちなほっぺたをつねるというイベントを実行すると、捻り力に相当する痛みがあった。痛みにシンクロして、軽く河川敷で警官とパトカー相手に、立ち回ったとという、下手な作り話みたいな記憶が、うっすらと海馬と前頭葉の間を行ったり来たりする。あの夢は、現実だったのか。
だとすればオレは……スリーバーで眠らされたことになる。ならば、ここは本当に刑務所。いや収監者が見当たらないし、裁判はしてないから警察署か。警察なら留置場ということになるな。そこまで考えて、考察の不毛を悟った。どっちだっていいじゃねーか。
「オレは、犯罪者に、なっちまった……」
そうなのだ。宮森らから逃走しようとしたあのとき、やじうまの中に、小型カメラを持った男がいた。ニヤニヤ動画かMYTUBEか知らないが、ネット中継と思って間違いないだろう。殺人事件の犯人が警官とパトカー相手に逃走を企て失敗。最後は無事に逮捕という、市民にとって心安らぐ結末付きだ。やんややんやの喝さい。「恐ろしい犯人が捕まって安心だわ」 なんて、視聴者のインタビューがあれば完璧だ。湧かない理由がない。
オレに対するネット炎上という
ああいうのは瞬間に炎上するだけでない。悪いニュースほど、そして不幸なニュースほど、拡散が拡散を呼ぶ。そこにあるのはユニークな刺激性。真実かどうかは関係なく衝撃的なニュースがもてはやされる。それはさらに、本人が死した後も、永久に消せない情報として、どこかのサーバーに深く残り続ける。
オレは実際、血まみれの何かを握っていたし、多数のパトカーと警官をから逃走を図った。そこに映像としてのウソはない。人口400万人の
因果応報という言葉がよぎる。騒動に首を突っ込む人間は、頭のどこかで、自分に返ってくることを恐れている。不可解な要素はあったが、結局は、好奇心から逃げなかったオレが悪いのだ。
「ぬぐ……ぁ……ぁああ!!!!」
バカだ、バカだ。バカだ。オレは!
オレのせいで、オレだけでなく、農場や妹たちの人生を終わらせてしまった。
安易な遊興への後悔。自分への叱咤。山岸からの要請を断らなかった自責の念。だが何を悔いても遅い。遅いからこそ後悔というのだ。目からほとばしった熱い液体が、ほほを濡らした。頭をかかえ嘆き、天井を仰いだ。
「はっ?」
見上げたそこには、無精髭を生やしたオッさんが、浮いていた。マジですか。
『はっはー驚いたか?俺は陽一、ゴーストライターだ』
よーいち。ゴーストライター。はて?
目をごしごしやる。目に触れた。やはり
「夢。夢だな? オレは河川敷にいかなかったし、ここはコンテナハウスの2階で、本当はCU32番の最中に寝落ち?」
はーよかった。
『その、ぶれない驚かなさに、驚いたっ!』
陽一というのはオッさんだった。蝶ネクタイの肩掛けエプロン男のコーディネートは、コーヒーショップのマスターかバーテンダーのいで立ち。ヒトのカテゴリーにいれてよい物か。判断に迷うところだ。なぜなら体格がおかしい。
身体が透けていて、なによりとても小さい。人間の標準体格からはみ出た存在というか、ホビットとかコロボックルって童話生物を想起した。空中で能書きを垂れている架空生命体。あえて何かに例えるというなら、デフォルメされた3頭身人形というのが腑に落ちる。
アニメキャラなら、もっと可愛らしくデザインされているものだ。だが、しっかりと汚らしい無精ひげは、いっそすがすがしい中年男子。飾り気がなさすぎて、街では浮いてしまうほどのオッサンだった。
自慢だが、オレの想像力はかなり貧弱だ。頭の中に映像を作るのが下手なせいか、読む文字や文体から登場人物の表情がぼんやりとしか浮かばない。小学校の野外美術教室で動物園へ行ったときのこと。ほかの連中はクマとキリンを描き分けていたが、オレの作品は足が4つある以外、生物の特徴が見当たらないと言われたな。
ぶっ飛び具合で、陽一というキャラは完成度が高い。3頭身にもかかわらず、どこからみても人間、少なく見積もっても生きて話す人形だと誰がみてもわかる。
悲しいが、オレの無センスは本物だ。現実に存在するということが、逆説的に証明された。
これはなんの生き物だ?
『俺は、お前に乗り移った幽体だ。お前の足が動くようになったのは、俺のおかげ。河川敷のいきさつは、覚えているな? ぜんぶどれも夢じゃねーからな』
え。いま、なんて言った?
「
『乗り移った
「
『幽霊? あんな、カゲロウもどきと一緒にするんじゃねー』
「どっちでもいいけど」
『いいのかよ……つか、俺をみてここまで動揺しなかったヤツ、初めてだ』
がっくりと肩を落とす幽体。体形的にみあたる肩がないのに、がっかり感を出せるとは
しかし夢じゃないって? どこまでの何のことを夢でないというんだ。
「オレは、行楽気分で捕り物を見に行ったんだ」
『聞けよ! イライラするぜ。ああそうだ。足をひきずってたな?』
「今は、引きずってない」
『感謝しろ。そいつも俺のおかげだぜっ』
「対岸にいたはずだが?」
『俺が仕切ったヤツはみんな、持病が回復する。10秒以上は、気を失うがな』
「気を失う?」
『そうだ。ちょうどいいから、ジャンプさせてもやったんだぜ。川の反対にな。大腸もって去るつもりだったが、計算よりも早く警察に追い付かれちまった』
”大腸をもって”だと。臓物を握らせたのはこいつか。”仕切った”だって? ”ジャンプさせた”とも言ったか?
『お前の身体に移民したオレに感謝しろ。右足くん』
話の断片をまとめる。つまりなにか。対岸で双眼鏡を構えていたオレにとり憑いて気を失わせた。それから体を乗っ取って騒動のど真ん中にジャンプ。女性作家の腸を握らせた、と。なんだそれ。キワモノ趣味にもほどがある。感謝だと。そんなこと、いつオレが望んだ?
「お前かあ!!」
幽体とやらを捕まえようと、浮遊するそいつに両腕でがばっと抱えこんだ。だが陽一は、するりとかわす。避けたのではない。そんなそぶりはいっさいなく、オレの身体のほうが、こいつの通り抜けたのだ。絶対に逃すことなく抱えたはず。だが、腕の中にヤツはいなかった。ふり向けば、同じ空中に変わらずぷかぷか浮いていた。
「なんだお前は、逃げるな!」
『いきなり襲うか? 身体から出ていけとか、呪縛を解けっておびえて怒鳴るっつうのが、順番つーか、お化けと遭遇した知性体が、最初に執り行うマナーだろうが』
「マナぁ?ドゥーユーリメンバー? それで、どうなるってんだ!」
『ずいぶん古いギャグを知ってるな。どうって。元通りになりたいじゃないのか?』
勝手なことを抜かすなと歯ぎしりしながら、陽一にタックルをかました。けど今度も触感はなし。ややひんやりする空気の中を、スカッとすり抜けていく。収監部屋は狭い。勢いあまって、ベッドの角に膝をぶつけたが、アドレナリンで、痛みなんか感じない。
「も と ど お り だぁ??? 終わったんだよオレの人生は」
ベッドに上がってジャンピングタックル。陽一がすり抜ける。ショルダータックル。すり抜ける。がむしゃらに腕をふって、囲まれた空間を行き来、戻もどりつ。ラリアットを繰り返していく。3頭身の体で、ひょいひょいとかわしていく陽一。
『まて、早まるな! 俺を捕まえたからってどうにならんぞ』
「はぁ、はぁ。はぁ。……少しは気が晴れるかもしれん!」
『俺は死んでるから、幽体になってんのだが』
「話せるってことは何かのエネルギー体か、霧のような無数固形の集合体だ。エネルギーなら残量があるし、集合体なら霧散する。生け捕りにして、それから首をしめて枯れるまで吸って食って、干からびコロす!」
『理論的にみえるが、むちゃ幻想を言ってんぞーーー』
「黙れ!」
無茶がどうした。素通りがなんだっていうんだ。こいつが、こいつが、オレの将来をぶち壊しやがった。安らかで安寧で、穏やかな市民生活を営んでいけるはずだった。それを、警察に逮捕されるバイオレンスな世界に引きずりこみやがった。許さんぞー。許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さん、許さんんんん!!!!
どこの留置場もこうなのか、この部屋の天井はけっこう高い。陽一は、オレの身長の倍くらいある天井まで、ひよひよと舞い上がった。人のジャンプでは絶対に届かない高さだが、今のオレには障害にもならない。床を蹴って跳ねれば、手は難なく届く。
パルクール好きは伊達じゃない。
「逃げるな!!」
『しつこいなー』
天井に押し付けるように、首をめがけてノド輪を狙う。ジャンプは加減したつもりだが、思ったのと何倍のパワーで跳躍したらしい。脚の使い方に慣れていないようだ。ノド輪を構えた利き手に、無駄なエネルギーが集中。勢いを殺そうと天井についた手首と指が犠牲になって変な方向へ曲がった。それでもオレのジャンプ力を抑え込めず、自分の頭が手を頭突きする。ゴっ。痛いなんて言ってる間なんかない。頭と鼻をしこたまぶつけ、天井に四つん這いになるようにして、やっと止まった。
が、上がったものは落ちるに決まってる。ニュートンが唱える前なら存在した万有引力の法則はこの狭い部屋にも適用される。1秒ほどの静止時間を終え、自由落下が開始された。頭を下にして。このままじゃまともにぶつかる。床の素材もあの軟らか樹脂。石やコンクリほどには固くないだろうが、3メートルの重力にオレの
柔道も合気道もやったことないが、受け身っぽいことをして、頭をまもらなきゃ。とっさに動かした足が、へんな角度で天井を蹴った。右脚、またお前か!
勢いを得たオレの身体が床に落下していく。おそらくは、4回転ルッツばりに、きりもみを描いて。
『ったく、身体を張ったすげー芸を見せてくれた。すまん。あいにく金はもってねぇ』
生きてたな。死ぬかと思った。こんなところで死地に遭遇するとは、人生は侮れない。これで死んだら報道される、よな。後悔して自殺を図った若き農場主とかなんとか。いてててて……。
「うるぜーぞ新入り。腹に響く。人様の迷惑になるドタバタはやめんか」
廊下伝いに怒鳴る声がした。ほかにも人がいたか。囚われている犯罪者のくせに、なに常識ぶったことをと叫びたい。
「す、すいません」
謝った。オレ弱ぇぇな。くふふと、べつの忍び笑いがする。ほかにもいた。ひょっとして、ずっとみんな聞き耳をたてていたとか。それはちょっとハズい。
なんか疲れた。ぺたりと座り込む。息が上がってることに気づく。脚も持て余してるし、追い回すのもばかばかしくなってきた。身体も痛いしなんだか疲れたな。精神的なほうに。
陽一が寄り添ってくる気配がした。天井の近くまでまで退避していたのが、くたびれたオレをみて降りてきたようだ。そういえば、なんで逃げてってんだ。この亡霊、捕まえるのは不可能だったはずだ。
『亡霊じゃねー幽体だ』
返事しやがった。こっちはしゃべってないぞ。なのに返答は的確だ。
『ああ。憑りついているヤツの心は読めるのさ。そう、気をおとすなよ。な、相棒』
だ、誰が相棒だよ。もはや口を開く気力はどっかにいってしまった。勝手にしろ。
『勝手にさせてもらう。だけど1つ。これだけは言わせてもらうぞ。キミには自由がある』
自由。自由だと?
オレは白々しく、薄汚れたピンクの部屋を見回した。そんなのが、どこにある。
『あるぜぃ。犯人を探しだして、身の潔白を晴らすって自由がな』
「えっ?」
プシュー。ドアの開閉音がした。囚人たちのざわめきが聞こえる。
「飯だ飯だ」「いつもより早いんじゃねーか」「クリスマスだからだ」「いま10月だぜ、アホ」「なんだとー、オレはあのハニーラック団の」「はいはい。まだ存続してたのか」
囚人の声、5つか6つくらいか。もっといるかもしれない。こんな多数に陽一とのやリとりが聞かれていた、のか。
『声なら、俺のは聞こえてないぜ。奴らには、キミの一人芝居にしかみえてない』
うそ、ならオレはアホの子だと思われてたのか。忍び笑いの意味はそうなのか。
頑丈な二重扉から現れたのは、アンドロイド。2045年式の警察仕様。河川敷公園でオレを組み伏せた女性のBEG-PS45。あれと同型の人だ。
「けっ飯じゃなーのかよ」「アンドロイドが何しにきやがった」「自動人形が」「いんや無人ロボットだろ」「はっはっは、ちげーねー」
アンドロイドは人に模したロボット。
『どこにでもいるな。つまらん人間は』
オレと同じ感想を陽一が吐く。幽体が”人間”を語るか。なんか重い。
BEG-PS45は、目を伏せたように見えた。
「アンドロイドへの差別および蔑視は、”準人型機械権利条約”に反するものです。それ以上、いわれなき侮辱を繰り返すのであれば、法的手段に訴えますよ」
「へっ。俺は3人殺してる。裁判すりゃあ無期懲役よ。脅しが利くかよ。バカロボ」
斜め向こうの部屋へ警告したが、男は毒づきをやめない。粗暴な話しぶりはスラム出身なのか。それとも、犯罪者にありがちな自暴自棄か。オレも犯罪者の一人だが、ああはなりたくない。
「準人型機械権利条約違反を確定。本庁倫理AI確認。高等裁判種法制AIが認可。より強固な拘束の命が下されました」
「けっ。牢屋なら、とっくに入ってるぜ」
それはその通りだ。牢の中で、さらに檻にでも放り込まなきゃな。
どうするのか。みていると、アンドロイドは一本の格子を掴んだ。鋼鉄より強固とされる樹脂製のそれを、力任せに引きちぎった。
「うそ……」
一本分広くなった空いた格子の間に、シリコンの軟らかな腕を差しこんだ。グーの手をパーになって、手平から何かがとびだした。ロケットパンチ、ではなくて衝撃弾。犯人の足止めや拘束のときに射出する。無関係の人を巻き込まないよう、ワイヤーが付いた弾だ。
「ぐべっ!」
肺からもれる空気音がして、転倒するような鈍い音が続く。静寂につつまれた勾留所に、誰かが生唾を飲みくだした。
「こ、この、暴力機械め」
男の仲間だろうか。消え入るような声で非難する。
「失礼。ミスしました。足を絡めとろうとしたのですが照準がぶれ、みぞおちに着弾したもようです。これは、プログラムされたロボットにはありえないミス。アンドロイドゆえのヒューマンエラーです。お許しを」
わざとだろ。
アンドロイドがロボットと違うのは基盤だ。プラスチックでもシリコンでもない、CPUと記憶素子は人の細胞でできている。100%ではないが、かなり人間の脳に近く設計されている。
感情とパワーがあるぶんだけ、人よりロボより恐ろしく始末がわるい。これは、逆らっちゃだめな人だ。
BEG-PS45は、目元をわずかに緩ませた。動けなくなった男の両足に繊維質の拘束錠をがっちりかけた。翻ってこちらをみつめる。
「18号室の1名。開錠します。奥まで下がりなさい」
「え?」
部屋の番号か。開錠できるならなんで格子を壊した……そこは突っ込むまい。18って言ったな。
壁にあったこの部屋の番号が18。そしてここにはオレしかいない。尋問の時間か。
「18号室。個人情報保護で、フルネームは呼称できません。”ゴウ”」
「は、はい」
『女性からのお誘いだ。ゴウ君。身ぎれいに襟を正して、それから』
それから?
『……健闘を祈る』
できるだけおとなしくしていよう。
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