第12話 性欲って何? スリー
性欲って何? スリー
カオリが叫ぶ
「男から性欲がなくなったら! 色んな事がダメになるじゃあないですか! 結婚とか、結婚に贈るダイヤの指輪とか、女にモテる為に車とか、家とか、豪華な物を買うとか! 全部ダメになると、世の中、潰れますよ」
ケイは真剣な目で
「カオリ君。それがなければ、社会が、世の中が不便になるのかい? 男性が女性にプレゼントする物って我々が生きるに必要なのかい?」
カオリが
「私はお金に換えたいから、欲しいです」
ケイは顔を引き攣らせて
「つまり、無くてもいいんだよね」
カオリが
「他の人は無くても、私は欲しいです」
ケイは額を抱えて呆れ
「まあ、とにかく、世の中に溢れている女性へのプレゼントなんて、無くなっても社会的にも世の中としても問題はない。今の社会を発展させている原動力は、自分達の社会をより良くしようとする事から始まっている。百年くらい前までは、病気が流行り苦しんでいた。だから医療や抗生物質、その他の医薬品に医術が生まれた。もっと多くの物や人を世界に運びたいから車や船、飛行機が誕生した。私達の生活に満ちている社会を維持するシステムや装置は、性欲から生まれていない。その事実を認識するべきだ」
カオリが
「それじゃあ、女性が男性に告白されないじゃあないですか!」
ケイが肯き
「良い事じゃないか。男性から告白するとストーカーとか、犯罪者みたいに扱われる。私としては、もう、告白は女性からするものであって、男性はすべきではない。それが社会の常識になっても困らないと思うよ」
カオリが
「それじゃあ、結婚する人が減りますよ! 人口減少社会ですよ!」
ケイが
「現在の結婚できる男女比を見てみたまえ、男性が6で女性が4だ。圧倒的に男性が多い。だから、女性は自分が気に入る男性と結婚すればいい。そうすれば、離婚も減るだろうし、その男性との間に必ず子供を作るだろうから、人口だって減少はしない。一定数保たれる。そもそも、社会全体が経済を基準にして考えているから、今も不幸な事例が多発生している。そろそろ、新しい社会、経済基準からの脱却をした方がいいんじゃないかね?
経済基準の世界が向かう場所は、イギリスだ。格差と階級社会。
人の欲望は、必ず暴走する。
アメリカは今や、経済基準のせいで格差が広がって99%の国民の資産を1%の大金持ちが握っている地獄のような状況だよ」
カオリが
「それじゃあ、男が不幸ですよ」
ケイは困った顔で
「カオリ君、男をバカにしてはいけないよ。不幸とか幸せとか、それは自分で決める事だ。それに男女の差なんてない。むしろ、他人に自分の幸福を決められてどう思うかね?」
カオリが渋い顔で
「それは…イヤですよ。私の幸せは私が決めます」
ケイは肯き
「その通りだ、十人十色、百人いれば百人の人生がある。それをこれだって決められるなんて最大級の愚かさだ。男性の性欲は、そういう愚からきているんだよ。男はこう!、だからこう!しなければならない。その果てに待っているのは、女性を殺害するストーカーや女性を不幸にする犯罪者ばかりなんだよ。
でも、人はそれに囚われる。なぜだと思う?」
カオリが「んん…」と
「まあ、そうなれば判別が楽ですから?」
ケイは肯き
「その通りだ。そうやって型に填めれば楽に分別できる。でも、カオリ君は、こうだって型に填められたらどうする?」
カオリは嫌な顔で
「イヤです。全力で拒否します」
ケイは肯き
「その通りだ。でもね。男の性欲って今までそうやって学習された結果によって形作られているんだよ。男はこうだから、こう! でも考えてくれ。男性とか女性とかは、その個人の一部分でしかない。それによって全てが決められるのは、知性がない証拠なんだよ」
カオリが
「じゃあ、なんで性欲なんて男に残ったんですか?」
ケイが
「それがあった方が今まで楽だったからなんだよ。人類の歴史を見ても、不安定な時代ばかり、それは今でもそうだが…。だが、今、変わろうとしている。人類は自分達の力以上の能力を持つ機器を身の回りに備えている。人間としての力が主流だった頃は、そういう風にする事で、人々をまとめていた。だから、男は性欲が強いという事にして社会を維持してきた。実際、人類はセックスに関して満足度が高くなるように進化もした。
だけど、もう…それは足枷になっている。
今の社会では、パワハラ、セクハラ、強制性交犯罪、男の性欲が強い事による暴力事件。
犯罪者の99%は男性だ。残念な事にね」
カオリが
「じゃあ、教授は、家族とか恋人とか、男女の関係が消えればいいと思っているんですか?」
ケイが真剣な目で
「カオリ君、家族とか恋人とか、男女の関係性って時代と共に変化しているんだよ。時間は前にしか進まない。過去には戻らない。昔はこうだったは、もう…通用しない時代が来ている。人は変化する事が本質だが、人は小さな自意識という個に拘るが故に変化を拒んでいる。我々人類は人類の本質を拒否しているのが現状なんだよ。昔に問題だった事は今も問題であり、そして…今は問題と思っていない事も、新たな時代になれば問題になる。
我々、男女は、今一度、昔のような事とは違う新たな男女の価値観を構築する時代に来ているんだよ。
性欲は絶対ではない。それは、性欲が時代や文化によって変化するからだ」
カオリが渋い顔をして
「んん、教授が熱弁すぎて分かりません」
ケイは体が崩れたが、持ち直して
「まあ、とにかく、性欲は…変わるって事でいいよ」
カオリが
「じゃあ、不倫とかで騒ぐ政治家や有名人とか金持ちって、元から性欲が強いって事なんですよね」
ケイは遠くを見て
「残念だけど、人の上に立つ支配者って者達は、自分がこう!とか男だったらこう!とかそういう妄想に取り憑かれている人達ばかりなんだよね…」
カオリが遠くを見て
「ああ…つまり、バカだから信用されるって事ですね」
ケイは遠くを見て
「そんな性欲という妄想に取り憑かれているから、何時の世も愚行をするんだよね…」
カオリより
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