第11話 性欲って何? ツー


 性欲って何? ツー


 カオリは首を傾げ

「え、男の性欲は思い込みって。そんなバカな! だったら性犯罪者なんていませんよ」


 ケイは厳しい顔で

「でもね、そういう思い込みによって性犯罪者が最悪の性犯罪を犯すんだよ」


 カオリが笑い

「だって、思い込みなら、年中発情している大学の男子達はどうなんですか? 明らかに思い込みなんかじゃあないですよ」


 ケイが

「確かに、カオリ君がそういうのもムリはない。だけどね…セックスする利点ってなんだと思う?」


 カオリが困惑をして

「それってセクハラ発言ですよ」


 ケイは真剣な顔で

「性的な意味はない。セックスする意味ってなんだと思うか、利益的な考えを思ってくれ」


 カオリが難しい顔で

「んんん…男は気持ちいいですけど…。女性は…ねぇ。負担ですよ」


 ケイが真剣な顔で

「他には?」


 カオリが首を傾げ

「子供を作るとか…」


 ケイは肯き

「その通り、子供を作る。それだけなんだよ」


 カオリが

「それじゃあ、男共が、年中発情するセックスしたいなんて…理由にならないですよ」


 ケイは肯き

「その通り。でも、男はセックスが好き、そういう事にして置きたいんだよ」


 カオリが困惑して

「ええ…そんなの男の本能でしょう。世界に生きているオスは、セックスしたいだけに生きているんですよ」


 ケイは悲しい顔で

「動物の世界ではね。でも、我々人類の世界は動物の世界ではない。確かに男はセックスが好き、そういう事にして置けば、人間社会としても利便が多い。例えば、経済を動かすに女にモテる為には、車や家、財産を手に入れると良いとか、こういう物を買えば良いとかね。だけどね…本当にそれって正しいと思うかい?」


 カオリは首を傾げて

「確かに、私としてはお金は大好きですから…財産があればいいんですけど…。他の友達に聞いても、それ程とは…思いませんよ。逆にそういう事に拘っている男性って怖いですね」


 ケイは肯き

「その通りだ。実際、過剰な性欲は犯罪の増加と比例している。我々人類は動物でもあるけど、動物でもないんだよ。だけど、そういう風にして置く事で、社会で…一部の権力を握っている者達に都合が良いんだよ」


 カオリが

「じゃあ、教授はどうして、性欲が思い込みだ。なんて思うんですか」


 ケイは

「さっきも言った通り、男は性欲モンスターにして置けば、社会のトップにいる支配者にとって扱い易い社会が完成する。そして、その性欲に関する性癖が、様々な場所、国や地域によって違うのが、その証なんだよ。とある心理学の実験で、裸の女性の写真とハイヒールを並べて男性に見せていた。そして、最後には男性は、ハイヒールだけで欲情するようになった」


 カオリが引き攣り

「うわ、変態…」


 ケイが真剣な顔で

「他にも、江戸時代に入る前に、女性が髪を上げて結うようになると、その顕わになったうなじに興奮する。なんて…文献があった」


 カオリが引き攣り

「最低。男ってバカですね」


 ケイが渋い顔で

「その通りだから仕方ないよね。本当に、バカだと思うよ。まあ、つまり、誰かがエロいと言ったら、それがエロいと思ってしまう。これが男の性欲の正体だと思っている」


 カオリが

「でも、男ってどんな時でも性欲全開なんでしょう?」


 ケイが渋い顔で

「残念だけど…とある事例があってね。非常に生活に困窮して飢餓状態の男性は、裸の女性よりも目の前にある食べ物を優先する。裸の女性に一切興味を示さない。性欲がゼロになるんだよ男性でもね」


 カオリが

「それは、腹が減っていたからであって、性欲とは関係ないのでは?」


 ケイが

「でも、カオリ君。もし、男性が性欲だけで生きているなら、食事よりも性欲を満たせる裸の女性の方へ飛びつく筈だよね」


 カオリが

「でも、人間の三大欲求に、食事、睡眠、性欲ってあるじゃないですか」


 ケイが

「残念だけど、それは間違った見方、つまり、こうだって思い込んでいる事による。間違った考えであると、最近になって分かったよ。考えてくれ。世の中には拒食症や不眠症、性欲が減退する人達もいる。それが三大欲求なら、失われる筈がないのに、人は病気にかかると、そういう症状が出て来る。つまり、それは間違いだったんだよ」


 カオリが

「じゃあ、教授は…世の中の男性から性欲が無くなっても何とかなると思っているんですか?」


 ケイが肯き

「ああ…何とかなる」


 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る