第7話 会社って何?
会社って何?
カオリ
「こんにちは、社会学研究所、助手の見方 カオリです」
ケイ
「同じく、研究所の教授、窓際 ケイです」
カオリが指差し
「そこの新入社員の貴方! 会社に入ってブラックと思った瞬間、それは転職する必要がります。訳の分からない朝礼、圧迫な新入社員研修、メンタルを病んでいる会社の先輩、ネットにあるブラック企業の特徴がありましたら、即転職で!
石の上にも三年なんて、戯言ですから!」
ケイ
「カオリ君、YouTubeにあるブラック企業を特集するユーチューバーみたいな事を言わないでくれる。ここは学問の場なんだよ」
カオリ
「じゃあ、教授はブラック企業が蔓延して、過労死する人達がいる社会が正しいと…」
ケイは首を横に振り
「それは絶対にあってはならないと思っている」
カオリが笑顔で
「じゃあ、ブラック企業なんて撲滅しちゃえ!」
ケイが渋い顔で
「残念だけど…ブラック企業は、無くなる事はない。むしろ…増えていくだろうね」
カオリ
「ええええ! どうしてですか! じゃあ、私達の未来は真っ暗じゃあないですか! 日本、終わった!」
ケイが鋭い顔で
「日本だけじゃあない。世界でも存在する企業は、全てブラック企業になるのは確実だからね」
カオリが首を傾げて
「どうしてなんですか?」
ケイが
「カオリ君は、企業ってどのように誕生したと思うかい?」
カオリは天井を見上げ
「んんん…テレビを見る限りでは…江戸時代とか戦国時代とか、昔からあるような…」
ケイが
「今のトップに社長がいて次に副社長、部長、課長、係長、様々な部門に分かれている会社の形態が誕生したのが…およそ100年程前、丁度…産業革命後からだね」
カオリが
「また、産業革命ですか! そんなに産業革命って凄かったんですか!」
ケイは肯き
「その通りだよ。それ程に世界を変える衝撃があったんだ」
カオリが
「それが、どうして、今の会社に通じているんですか?」
ケイが渋い顔で
「産業革命後の世界で、効率良く人々を動かすに適していたから、会社というシステムが誕生したんだよ」
カオリが
「それ以前の時代に会社は、あったんですよね」
ケイが首を傾げ
「会社というより、人々が集まって互助会的な組織が多くあったんだ。縛りも緩いし、社内のように役職なんて曖昧だったからね」
カオリが首を捻り
「互助会って? 何です?」
ケイが
「今で言う、共同体、同じ土地に住む仲間って感じだよ」
カオリが困惑し
「え…そんなに緩かったんですか?」
ケイが
「例えて言うなら…村長がいて、みんなで集まって何かするって感じだね。人間が認知できる人数は100人が限度らしいから、丁度…100くらいが集まって一つの集団として色々と生活していたと思えばいい」
カオリが
「えええ…でも現実じゃあ、もっと沢山の人達と接触する事がありますよ。それこそ、会社に勤めれば、1000人とか…営業の人なんて何千人って事も!」
ケイが
「だから会社が誕生したんだよ。一人の力では処理不能な事を部署や階級といった担当を決めて対応して、それによって売り上げを獲得して会社内の社員に配る。これが会社が誕生した理由でもあるんだ」
ケイが説明する。
「産業革命以前は、自分達で様々な生産物を造って暮らしていたが…。大量生産を可能とした為に、生産物を大規模に製造する様々な組織が誕生する事によって、社会が維持されるようになった。だからこそ効率がいい組織の運営方法が編み出されて、今の会社がある」
カオリが
「効率を求めて会社が出来たのに、どうして、過労死とか過重労働とか、人を使い捨てのようにする会社があるんですか?」
ケイが眼鏡の付け根を押さえて
「それはね。その組織のモデルとなった構造に原因があるんだよ」
カオリが
「そのモデルとなった組織って、どこ何ですか?」
ケイが真剣な瞳で
「軍隊だよ」
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます