第3話 結婚って何 ツー

結婚って何? ツー


 カオリ

「じゃあ、どうして家族を持つ事で生存確率が上がるんですか?」


 ケイが真剣な顔で

「まず、人類の産業革命以前の生活を思い返して欲しい」


 カオリが上を見て

「産業革命以前? ……… 異世界転生でオレ強えーーーー」

 

 ケイ

「違うーーーーー 農耕文明なんだよ!」


 カオリが笑い

「知ってますよ。車も電気もない。牛か馬を使って畑を耕したり、運搬したり、牧歌的ってヤツですよね」


 ケイが肯き

「その通りです。産業革命以前の生活はそれもう、一人で生活するには厳しい時代でした。それ以前の石器時代とかなら、もっと厳しかったでしょう」


 カオリが

「じゃあ、一人で生きるのがツラいから、誰かと一緒になって、暮らした方が楽だから結婚して家族になるんですか!」


 ケイが

「that's right それが結婚なのです! 人は一人で生きていけません。それが分かっているから結婚して夫婦となり、家族を作り、家族が集まって集団となり、多くの労力を作り出せて生活が維持できる。つまり、社会の始まりとは、結婚して家族が出来てそれが集まったから誕生したのです」


 カオリが

「それじゃあ、愛がないじゃあないですか!」


 ケイは

「確かに始まりに愛は無いかも知れません。ですが…人間ってのは不思議もので、お互いが共にいる時間が増える程、愛情が増していく事があります。もし、カオリ君の愛があって結婚するのが当然なら、お見合いで意気投合して結婚した夫婦は100%不幸になる筈です。ですが…違います。更に、女性の一目惚れは、一目惚れではないという心理学の論文もあります」


 カオリは

「じゃあ、なんで女性って一目惚れっていう人がいるんですか?」


 ケイは

「女性の場合は、前々から知り合って、段々と愛情が湧いて来て、付き合った後に、無意識のこじつけに、そう思い込んでいるのでしょうね。まあ、男性からすれば一目惚れだったって言われれば嬉しいですから。無意識の女性の算段でもありますね」


 カオリは

「じゃあ、男性も女性と同じように、前々から知り合って、愛情が湧いて来て…」


 ケイは真剣な目で

「残念ですが、男性には、恋愛感情が存在しません! セ○クス出来るか?出来ないか?それ以外ないのです! 脳内の電気的活動を調べる実験で、男性と女性の恋愛に関する脳内の活動を調べた所によると、女性は複雑に脳内が活動していました。ですが! 残念な事に男性は、脳内の一部しか活動していません! そう、勃起中枢がある部分だけです! つまり、男性にとって恋愛とは! セ○クス出来る? yes?no? それしかないのです!」


 カオリが

「最低ーーーーー 男って最低ーーーーーー」


 ケイは冷静に

「でも、考えようによっては、それ程、単純な理由で男女が結ばれても幸せになるって事ですよ」


 カオリがショックで

「じゃあ、ただ、生存する為に、結婚して、男はセ○クス出来るか、出来ないかで、女性を選んでいるなんて…結婚とか夫婦とか…イヤに見えてしまう…」


 ケイは冷静に

「カオリ君、貴方達のご両親は不幸ですか?」


 カオリは否定して

「いいえ、幸せそうです」


 ケイは冷静に

「確かに結びつける理由は、色々ですが…。それで家族となり夫婦となって、幸せになる事の方が多いのです。まあ、一部の問題ある方々を出せばキリがありませんが…。多くの7・8割の夫婦は、幸せにやっているのです。

 昨今のネット社会では、どうしても問題がピックアップされがちですが。逆に考えるとその数十倍もの数の夫婦は上手く行っているという事でもあります」


 カオリが挙手して

「じゃあ、人間は、家族を作り、集まって生存確率を上げているなら、どうして独身の人がいるんですか?」


 ケイが

「そこが、大きく変貌した所でもあります。産業革命以前の生活では、家族でないと生存が出来なかった。ですが…産業革命以降、様々なモノが従来の速度より早く大量に生産可能となった。つまり社会の形態が変化したのです。その速度は年を追う毎に拡大、そして、現在のロボット機器や、ネットワーク機器が発達した情報社会を、そして、ゆくゆくはAI技術社会へと至るでしょう」


 カオリが

「それが家族や結婚にどういう変化を与えたのですか?」


 ケイが

「まずは、個人の裁量の幅が広がった事にあります。今まで生活するには、家族との話し合いや協力が必要だったのが、人を必要としないで、個人で出来るようになりました。

 例えば、代表例としてユーチューバーという職業を上げると、彼は動画の撮影から編集、配信、企画までも個人で行います。これは一昔では多くの人数がいなければ不可能でしたが…技術の進歩により、一人でこなせるようになりました。今の私達の社会は、急速に技術が進歩する時代です。大人数でやらなければならない事が、明日には一人で出来るようになる。そんな時代に生きているのです。

 そうなれば、誰かを欲する機会が減ってしまい。必然的に独身の方が増えるのも当然でしょう」


 カオリが

「はいはい! 低収入の人も独身が多いって聞きますけど、それも関係あるんですか?」


 ケイは肯き

「おおいに関係しています。昔、暮らしていくに厳しいなら、結婚した方が楽なるから結婚する人達も多かった。ですが、現代文明のような世の中では、逆に結婚するメリットがありません。コンビニやスーパーに行けば、様々な商品が格安であります。単身用の栄養を考えた給食の配達もあります。まさに便利な世の中になったからこそ、結婚しているより一人の方が楽な事も事実です」


 カオリが

「じゃあ、結婚する人が減っていくんですか?」


 ケイは首を横に振り

「だからこそ、結婚が変貌してしまうのです。今まで生存として結婚が、恋愛により結婚に変わりました。この先、結婚がどう…変貌するのかは…予測不能ですが…。確実に言えるのは、今までの男女の価値観は、数年したら全く別物になってしまうということです!」


 カオリが

「じゃあ、結婚しない方が得なんですか?」


 ケイは

「それは…同意しかねるよ。結婚すれば幸せになる、なんて価値観は、結婚を最終目標にしている無意味さと同じだからね。ただ…言えるは、結婚や家族という形態は、その時代時代で変貌していると言う事なんだよ」


 カオリが

「じゃあ、少子高齢化ってマイナスがあるじゃないですか? 政府とか偉い人とかマスコミは、結婚して子供を増やせって言ってますよ」


 ケイは冷静に

「それは、安易な考えだよ。少子高齢化って言っているけど、それは、今までの時代までモデルケースがないから、焦って言っている事であって、子供が少なく、長寿な社会なら、どんな年齢でも出来る職業を生み出すべきだし、安易なマイナスの誇張は、真実を見えなくしてしまう。

 本当に必要なのは、恐怖心や、マイナスによる焦りじゃあなくて、じゃあ、そういう社会になったら、どうやって新しい社会を形作ろうか?と考えたりデータを集めたりして、色々と試行錯誤する事が必要な筈だ。その為に社会学や、心理学、技術、学問があるはずなんだけど…なかなか、そうはならないのが悲しい事だけどね」


 カオリが

「つまり、うるさい老害や、クソな政治家は死ねって事ですね!」


 ケイが渋い顔で

「老害ってはダメだろうけど、政治家に関しては微妙だね。心理学でも社会学でも、権力を握った者は、必ず愚行を行う事が分かっているからね…。権力を握った人物には潔さが必要だと、私は思うね。自分の無力さを知っている者ほど、賢いから」


 カオリが

「じゃあ、自分の生存率を上げる為に、婚活や、お見合いを利用してきます」


 ケイが微妙な顔で

「その…昔のお見合いとかなら、成婚率は高かったらしいけど、現代の登録制度のお見合いとか婚活とかってシステムは…あまり、成婚率が高くないから…そういうデータを開示する婚活会社がないんだよ」


 カオリが驚きで

「じゃあ、何の為に、お見合いとか婚活の会社があるんですか?」


 ケイは遠くを見るように

「結婚できない人って社会学でも分かっているんだよね。理想が高い人、夢見がちな人、意識高い系とか、とにかく、妥協やこだわる人が結婚できないんだよね」


 カオリが遠くを見るように

「要するに、条件ばかりに気を取られて相手を人間として見られない人達が集まる場所が、お見合いや婚活なんですね」


 ケイは遠くを見て

「だって、世の中の7割の男女は、そんな場所に行かなくても結婚できるから…」


 カオリから

”結婚って何だろう?って思った方は社会学を”

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