やはりただの幻聴だった。レベルなぞ有りはしない。

 僕は男の腕を掴み、ギリギリと捻りあげる。


 力が三倍もあるなら簡単に外れるだろう? どうだ?


「痛い痛い痛い痛いいぃぃぃ! ご、ごめんなさい、ごめんなさーい!」


 男が泣きながら謝ってきた。


 これ以上は過剰防衛かな、と思って手を離す。だが、レベルとかいう曖昧な情報に騙される情報弱者はこれで懲りただろう。真の力は体に現れるのだ。


 しかし、この僕が喧嘩なんて……


 フィジカルと共にメンタルも強くなったのだろうか。だが、あまり暴力的になってはいけない。強い男は優しさも持ち合わせているのだ。


 覚えてろぉ! という捨て台詞を吐いて、男たちが逃げ出した。

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