正当防衛成立

 僕はツカツカと男たちに近づいた。


 僕のあまりの無用心さにあっけにとられたのか、三人は呆然としていた。

 でも、すぐに激昂し、いきり立って僕に向かってきた。



 正当防衛成立、だな……と思った。


 ナイフは怖いけど、僕のバットはリーチがある。彼らの軟弱な腕で振るうナイフより、僕のパワフルなスイングの方が速いに決まっている。


 大義名分を得た僕は、エイっと軽い気合いを込めて腕をぶっ叩いてやった。やはり、力は正義だ。叩かれた相手は、ナイフを振るう間も無く、悲鳴を上げてもんどり打ち始めた。


 その光景に驚いているもう一人の足の脛をコツンと叩く。僕としてコツンとしたつもりだったが、音は“ボキャ”と鈍い音だった。

 脛が異常な方向に曲がった男は足を抱えて叫び始めた。


 なんだ、全然じゃないか。


 最後に一人オロオロしている男……こいつが僕の三倍も力があるらしい。

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