ミッションインスバテラ村~ダイジェスト編~

 老医が犯人だと断定された段階で非常に厄介な事が確定した。という事で自称そこそこ天才とシェリー君は当然悩んだ訳だ。

 医療の要、というか唯一の医療従事者が集団中毒事件の犯人。その唯一の医療従事者を牢屋に叩き込んでしまったら、ただでさえ崩壊しているこの村から医療が消滅して、村として成り立たなくなる。そして、今の村の状態のままでは代わりの医者が来る事も無い。

 この状態ではあの老医、もとい毒爺が犯人であるよりもシェリー君の方が犯人である方が村人からしてみれば都合が良い。毒をばら撒くリスク込みでも老医の方が村にとって必要だからだ。という訳で、ちょっとやそっとの証拠を並べても推理ショーは開催出来ない。村人は納得しない。

 これらを無視して犯人を捕まえて村人を強引に説得したいと考える事が出来れば簡単なのだが、現在シェリー君は学校の課題の一環で来ている。

 村人との関係性を破壊しては課題遂行が困難。村を破壊して課題をクリアする方法は存在するが・・・・・、シェリー君はそれを許さない・・・・・・・

 『犯人を村人に認めさせ、その上で医療崩壊を喰い止めねばならない。』

 これが勝利条件だったが故に頭を抱えていた訳だ。

 そうして、自称そこそこ天才とシェリー君2人で悩んでいたところで更に孫娘を加えて悩み、最終的に出た結論としては……『老医を一度締め上げよう!』だった。

 私は傍観し、3人であれやこれやと準備を開始し、始動した

 そうして、時間と場所は移り、村長の家で無言の若者が孫娘の手を引いた所まで飛ぶ。




 「…………(手を掴んでもう片方の手で扉を指し示す)」

 「え、来いって?アイツらのトコ?え?エ?何で⁉いや、看病があるから!」

 強引に手を引いて、村長の家を2人で出て行こうとした。その直後……

 「…………?(掴んでいた手がすり抜けた)」

 「失礼、少し眠って頂きます。」

 「?(声が変わった?と驚いて振り返ろうと…)」

 後ろを見ていなかった若者は孫娘…に変装した『シェリー君』に不意を突かれて気絶させられた。

 これが第一段階。孫娘に変装した後に村長宅に張り込んでいる若者衆の内の1人の不意を突いて捕縛。


 それからシェリー君が若者の1人に変装。若者達が診療所周辺に居る事を確認して……

 「大変だ!また毒キノコで倒れた!誰か、来てくれぇ!」と、村の誰か・・・・のフリをして老医に揺さ振りを仕掛けた。

 その直後に若者として他3名と合流。『村長宅にシェリー君が現れて村長が重症になった』というデマを老医の前で披露し、追い討ち。

 後は若者連中が突っ走るのを宥め、老医の元へと誘導。あれを連中に見せ付けた訳だ。

 あくまでシェリー君達の思惑で見せられたものではなく、自分達が考えた結果の風景。自分達を信じて止まない連中からしたら、その目に映る物は真実以外の何物でも無かった。

 あとは適当に連中を暴れさせた所で回収し、老医を仕留めて現在に至っている。

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