見えない怪物はエルフを食べない
単なる学校の課題。
と表現するには矢鱈面倒臭い。
外部からの干渉を防ぐ為ではあったが、陸の孤島が舞台。
それだけならやり様は幾らでもあった。実際風評被害で廃村になりかけているだけならお手軽に幾らでもやる事が出来た。が、風評ではなく現役で被害が発生していた。
村人達はシェリー=モリアーティーを歓迎していない。
正確に言えば歓迎するつもりだったがアテが外れてしまったというべきだ。結果、敵意剥き出しの連中が早まったマネをして今や敵対関係に近い状況になった。
そして現在実際に確認が出来ている被害。
・昨日村人もシェリー君も知らない招かれざる客が怪物に襲われて現在も昏睡状態にある件。しかもご丁寧に『くも、もりの……かに、ばけもの、はってきて、』と口走っていた。
・今日、まさに先程シェリー君が襲撃を受けた件。
やれ幽霊だ!悪魔だ!悪霊だ!妖怪だ!妖精だ!と騒いだ結果生み出された存在しない怪物よりももっと性質の悪い実体有る怪物。
実際シェリー君は辛うじて一命を取り留めた状態。あのまま続いていたら死んでいた。
問題も問題を取り巻く環境もロクでもないものばかりでいやぁ!まさにいつも通り!
「それもそれでどうなのかね⁉」
「何がですか?」
「いや、なんでも。
にしても、君は昨日と今日の件についてどう考えているのかね?
二日足らずではあるが、情報量は中々に多い。順番に解決していかねば…探偵よろしく『これにて事件解決』とは…いかんよ。」
「教授、どうかしましたか?絞り出す様に、非常に苦痛に満ちた声に聞こえるのですが………何か?」
「いや、『探偵』・『事件解決』という言葉を口にしたり聞いたりした事で、非常に不愉快で攻撃的で度し難い気分になっただけだ。続けてくれたまえ。」
「…えぇと、わかりました。
では、私がやるべき事、事件解決の定義とでも言うべきものを先ず。」
「どうぞ。」
「最低でも私は三か月の間に森にいる、今日出会った『仮称:怪物』と村人の共存ないしは最悪の事態……排除を行い、風評被害を根絶する事を目標にします。」
「最悪の事態に排除と言うが、出来るのかね?
それは勿論、情動面で出来るのかという問題が一つ。能力面で可能なのかという問題が一つ。
情動の件に関しては君の美点であり致命的な点。これに関しては、君に何時も言っている事で最大の課題だ。
そして、能力面。先程の自分の状況を見ただろう?あの状況で君は対話能力があればテーブルに着かせる事が出来ると?
あれを見てそれを肯定出来る程私は間抜けな発想をしていないが?」
敢えて意地悪く質問してみる。
「それに関してはお恥ずかしい限りですが、冷静になって解りました。あの時の私の状況が指し示していた事を。」
「ほぅ……」
「エルフごっこがカギでした。」
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