トンネルを抜けるとそこは枝の山だった
「警戒は、一段階強めた方が良さそうですね。」
トンネルと呼ばれていた場所。木々が左右に分かれて生え、木の枝が絡み合って光を通さず確かにトンネルの様になっている。
そして、木々が分かれた部分が道になって僅かに上り坂の道が出来ている。
木の枝までアーチ状になって足場が無く子ども達の言葉を借りるのならばエルフごっこ方式で移動が出来ない。
露骨に整備されているようにしか見えない。通るのはリスキーだが、子ども達三人分の足跡が残っている。
少なくとも子ども達はここで襲われていない。
が、
という事で懐から再び現れた風呂敷。
左手に持った端から一本の帯となって伸び、雲の様に浮かび漂う帯が全方位を囲い、守る。
風呂敷の布自体の耐久性に加えて魔法による強化を加える事で大半の剣の斬りつけや槍の刺突を防ぐ事が出来る。とはいえ、貫通を防ぐ事が出来るというだけでここまで展開すると衝撃の方を防ぎきる事が出来ない。先程同様全方位から襲撃されれば受け身や攻撃と同方向に飛んでの回避は出来なくなるので安心は出来ない。
更に、攻防一体で中々に汎用性は高いが、致命的な死角がある。
道を進む程に霧が薄くなっていく。
そして、真上からの光は届かないが、周辺から漏れる光で地面が辛うじて見える。お陰で地面に残っている足跡がクッキリと見える。
子ども達の他にこの近辺を歩いていた輩がいない。又は足跡を消したか空を飛んでいるかそれとも……。
トンネルを抜けるとそこには木の枝が積まれた奇妙な小山が幾つも並んでいた。
足跡は残っているがやはり子どものもの三人分だけ。
他に足跡は無く、やはり生き物の気配もない。
「この枝、誰かが焚火用に残した訳ではないのでしょうが、そうするといったいこれは何なのでしょうか?
何かの巣?餌の置き場?それとも何かを保存するためのもの?それとも…何もないですね。」
周囲を浮かんでいる風呂敷の一端で枝の山を漁ってみるが木の枝木の枝木の枝……枝の中に何かが隠れている訳ではなく、木の枝が特別なものという訳でもなく単にこの辺りの木々の枝だけが積まれていた。
土も掘り返された様子がない。
地図を改訂した時の様子から判断すると子ども達がこれをやった訳ではない。大人はここまで足を踏み入れた様子はない。
さて、非常に面倒だ。
「ここにはいませんでしたね。特に痕跡も無いようですし、足跡を追いかけるしかなさそうです。」
森の奥へと歩く、歩く、歩く…………
一人以外の気配は無い。
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