If?:破落戸と少女の最後の悪夢30
「そうね、何だか、少し変わったわ。
丁度、誕生日祝いの頃、かしら?あの頃からね。」
エリザベート=テイル。旧姓、エリザベート=サウザナイズからも追及が飛んできました。
辺境の貴族、サウザナイズ家の次女であり、20年前までは『真相の令嬢』と呼ばれて巷では有名だった。
有名な理由、深窓の令嬢ならぬ真相の令嬢。
彼女は相手の真相を暴く能力を持っていた。
元々地元では嘘を見破る聡明な女性として知られていた。が、とある舞踏会に現れた暗殺者をその能力で見破り、幾人もの貴族を救ったという事で大事になり、その能力に目を付けた連中が策謀奸計を巡らせ、辺境の貴族一人を取り合って殺し合いの政争になりかけたほどだ。
最終的に、その令嬢に惚れ込んだ一人の青年が誠心誠意、真実の好意と行為で真相の令嬢を純粋に口説き落とした。
因みに、政争は
この二人の追及を躱さない限り、私に明日は無い。
背を向けて逡巡。
意を決して、振り返った。
相手は街中に眼を持つ貴族と自身の眼で偽りを見抜く真相の令嬢。
そして、誰よりも自分をよく
下手な嘘…どころか、巧妙な嘘であっても見破られる恐れが在る。
それでも、やるしかない。やった上で、巧く誤魔化す、否、すり抜ける!
「実は最近、目標が出来たのです。」
嘘は御法度。それは子どもの頃から知っています。
だからこそ………
「目標?」「何かしら?」
嘘は一切つかない。その上で二人の疑いをすり抜ける!
「誕生日プレゼントの魔道具、実を言えば私は、アレを見付ける事さえ出来ませんでした。
皆さんの協力が有って、私はこうして二人に贈る事が出来たのです。」
嘘は一切有りません。
魔道具を見付けたのは街の皆さん。そして
「だからこそ、少し、何時もより少しだけ頑張って皆さんの力に成ろう……………と思いまして。
心配をかけて申し訳有りません。」
立ったまま、頭を下げる。
自分の感情のままに行動を示す。
ここから先は何も考えていない。
思うがままに、自分の心のままに、行動を示す。
その結果は……
「そうかぁ。
我が娘よ、何か困った事が有ればこの父に言いなさい。全力でお前の助けになるぞ。あぁただ……」
「お父さんに言い辛い事が有ったら、私に言うと良いわ。
あ、嘘を吐いている人を見分けるなら、お父さんよりも私にね。自信あるから。
それと……」
二人の嬉しそうな笑顔。そして、応援の言葉だった。
賭けは、否、勝負は私の勝ちです。
「「無理はしない様に。それだけは
おやすみなさい、リザ。」」
最後に、私への心配と優しさの言葉をもって、その日の談笑は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます