If3?:○○○○○○○にさよならを5
身元確認調査から数時間後。
灰と炭が混ざった冷水を被りながら、リストの名前に印が書き込まれていく。
死体も文字通り山の様に見つかり、残る無印はあと2人。
「あと少し!次、えぇっと、ギリギリ金髪っぽいな、熱で見る影無いが、金色のが燃え残ってる……コルネシア=アルヒィンデリアって名前、無かったか?」
「あぁ、在るね。
親が十字のペンダントを持たせてるって書いてあるけど、どこかに有る?」
その言葉を聞いて躊躇い無く焦げ付いた布を引っぺがす。
少女の死体にそんな事している様を傍から見られたら完全アウト。御貴族様に見られたら首と胴体泣き別れ。
まぁ、そんな対外的な事だけでなく、正直気が咎めていない訳じゃ無いが、しゃーない。これも仕事だ。
「あぁ、あった。これかな?」
そう言って元は人間だった黒いものに付いていた、黒い十字の小さな塊を引っぺがす。
果実の皮を剥がす様な感触と共に手の中に肉片の付いた黒い十字が転がり落ちた。
「あー………それみたいだね……。」
後ろから覗き込んでその様を見て苦々しい声を出す。
現在の所、外の転落死の遺体も含め、見つけたものは皆死亡との結論に至っている。
要は皆死んでいる。数人を残して。
「さぁ、さっさと探すぞ。
他に調べてない所は?」
もう開き直って最後の一人を探そう。
正直言って出来るだけここに居たくない事には変わりない。
「あぁ、上の方に扉が変形して開かない扉があったけど……まだその中は探して無いかな?」
「あー………あそこか。
じゃぁ、行くとするか。」
カモヤの持つリストの最後。一つだけ残った名前を見ながら、この先にあるものを見て頭を抱えた。
閉ざされた場所を暴く。開けた途端に薄明かりが目に刺さる。淀んだ太陽の光が照らしている。
用意してあった目当ての物を引き摺り出して手に取り、準備を済ませる。
最短。最速。最低限の行動を済ませてその場を去る。
「明らかに厭な予感がするのは俺だけか?」
「………………イヤ、俺もちょっと嫌な予感はするよ?」
真っ黒な扉を前に二人して憂鬱な表情を浮かべる。
真っ黒に焦げて歪んた扉。
他にもうまく開かない扉は有ったが、ここは特に火が回った様で、焼け方が酷い。
焦げた匂いが特に強く、人の死がそこに在ると考えるとその黒がより目に焼き付く。
ノブに触れても熱さは感じない。火事の気配は無いが、回したりひっぱったりしても全く開く気配がない。
「ブチ壊すか…………。」
左腕を回しながら奮起する。と言っても、正直乗り切れていない感覚は有るが……。
「手伝う?」
「イヤ、二人でやるよりか一人の方が被害は少ないだろ?
それに、万一火種が残っていた時のことを考えるとカモヤには不測の事態に備えて貰った方が有難い。」
「解った。」
そう言ってリストを懐に仕舞い、準備を始める。
「よし…、じゃぁ行くぞ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます