If3?:○○○○○○○にさよならを2
火事の現場なんてそんな何度も経験したいものだとは、決して、思わない。断じて。
黒焦げの建物は水浸しで冷たい。
しかしその癖所々建材内部が燻っていていきなり炎上する事もある。
冷たいし熱い。
挙句に今回は学校の宿舎の焼死体の確認作業。人数が確実に多いし、年齢も同じくらいだから死体の状況次第では判別が困難を極める。
しかも、血肉を派手に撒き散らした元人間が外にゴロゴロ転がっていた。あれは多分、判断力を失った連中がイチかバチかの賭けで飛び降りた結果、賭けに負けたのだろう。
あの惨状を見るに、中でも相当数死んでいる。
「生存者は絶望的。死体は三桁越え確実。本社からも御貴族様からの応援も見込めない…………。
ハァー…………。なんでだよ。」
そう、この阿呆みたいにデカい建物をあろうことか俺達二人で片付けるのが今回の仕事。
陰鬱で救いなんか無くて、達成感なんて無くて虚無感と罪悪感だけは胸から溢れるほどに在る有難い仕事。
「しょうがないよ……。
本社は別件で人員不足状態。下手に新人や新参の人にコレをやらせるわけにはいかないし、かといって上役は今例の件で忙しい………………。
貴族側も貴族側で互いにこの件のゴタゴタ&その隙を突いた陰謀合戦牽制合戦と娘の事で一杯だろうし………したら僕達がやるしか無いでしょ?」
現在、どこもかしこも人員不足…………まぁ正直、手前らのガキが死んだのに権力争いに勤しんでいるってどんな阿呆だ?って思うがな。
「ま、その薄情な親御さんのお陰で、死体に群がる俺ら禿鷹はおこぼれで儲けられるんだがな。」
炭化した『何か』を摘まみ上げながら、否、もう砕け散った炭の粉を見ながらぼやく。
機密保持と傲慢で鼻持ちならねぇ連中の寝言を延々聞かされる事、ミスったら最悪法と正義(笑)の元消される事、やる仕事内容でちょっと心を
連中にとってははした金だろうが、俺達にとっては大金だ。
「アーサー言い方、言い方。
…………………俺達は禿鷹じゃないよ。誰かがやらないといけない事なんだから、俺達は真面目に仕事してるんだよ。
さぁ、こんな所で誰にも見付けられずにずっと放っておかれるのも酷いから探そう。」
困った様に、でも優しく笑いながら、ペンと紙を握ってカモヤは淡々と仕事をこなす。
「まぁな………さぁてと、じゃ、楽しい楽しい
そう言って何気なく炭化した木材を持ち上げると、そこには金属が巻き付けられていた。
人間の右腕だった。
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