If3?:○○○○○○○にさよならを1



 キィギィキィギィキィギィキィギィキィギィキィギィ……………。

 足元で床板がイヤな音を立てる。頭上からは快晴の筈なのに雨が降る。

 「何で俺達こんな事やってるんだ?」

 炭と灰に塗れた自分の手を見て肩を落とし、灰混じりの雨に濡れた服の不快感に嘆く。

 真っ黒に焼け、水びたしになったボロボロの床をおっかなびっくり歩きながら辺りを見回す。

 キィギィキィギィキィギィ………。

 足が床に触れる度、厭な音が鳴っていた。

 今にも抜け落ちそうな床…と思っていたものが、見た目の炭化に反して、その中に頑丈な木材を残し、最早中身が焼け落ちてうつろとなった学園を辛うじて支えている。

 焼け落ちて所々欠損はあるものの、それでもなお、ここには以前、虚飾の令嬢学園が存在していたと吼える消え入りそうな矜持が在った。

 「はぁ………はぁぁあああああ。」

 足元の無事を確認し、時折滴り落ちる灰混じりの雨に濡れた服が目に入り、そうしてまた、諦めと失望だらけの、うんざりの感情を前面に押し出したため息を漏らしながら、周囲の炭や灰の積み重なった部分を素手で持ち上げたり、引っ掻き回して荒らしてみる。

 「あー、仕方ないよ。『何か有った時には僕達が対応する。』最初からそういう仕事だから………。」

 後ろから、真面目な筈なのについ気が緩んでしまう声が聞こえた。

 振り返れば俺と同じ様に手と足元を黒く濡らし、辺りを手あたり次第観察して、時に俺同様にそこらに転がった炭化した『何か』を引っ掻き回していた。

 組んだ同僚がカモヤで良かった…………。

 こんな大惨事の起きた現場検分をやれと言われた時は、即効性の毒を飲まされた様に胃と頭が痛み、立ち眩みがした。

 が、コイツの動じない緩やかさと言うか、呑気と言うか、安心感があるお陰で如何にか卒倒せずに仕事を全う出来ている。


 俺達が所属する組合…マガードニアグループは所謂何でも屋の巨大版だ。

 その辺の子どもの探し物から大物の護衛任務まで幅広く仕事を受けている。

 そう、大物。例えば貴族の依頼や国家間の依頼まで受けている。


 今回、俺達がやっているのは貴族達の依頼。『アールブルー学園内で処理不可となった事態に際して一早く、かつ極秘で対応し、これを鎮圧する。』というモノ。

 今回の事例は、貴族の令嬢達が集まるかの有名なアールブルー学園で起きた火事の初動調査だ。

 火事が起きたのは昨日の日中。ボヤ騒ぎ程度であれば教員対応だが、煙が数キロ先からも見える様なボヤどころではない大火事。

 消火は近くを通りかかった商団がやってくれたそうだが、職員、生徒の安否は今の所不明ということになっているが、今の所生存者の気配は敷地周辺にも建物内にも無く、絶望的。

 そんなクソ状況の中、俺、アーサーとカモヤはマニュアルに従い、『生存者の保護』から『火事で炭化した遺体を火事場から見つけ出す』。に仕事をシフトした所だった。


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 ここから先が一番書きたいシーンを連発する気なので、飛ばして書く事は出来ませんが、書くのをいつも以上に楽しみにして書いていきます。


作者 黒銘菓より

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