If3?:緊急職員会議
翌日、三つの死体が校舎で見つかった。
事故死…では無く他殺体で………だ。
無論学園は大騒ぎ。当然臨時休園で授業は無し、生徒は宿舎内の自室で鍵を掛けて待機。部屋から一歩も出ない様に、教員であろうと部屋に入れず、ドア越しに話は聞く様に釘を刺されている。
情報も統制されて殆ど流れて来ない………訳が無い。
自室待機で厳戒態勢を敷けば、何も知らずともロクでも無い事が起きていると察するし、眼前の建物で殺人なんて起これば情報封鎖なんて出来る訳が無いから噂が立つ。
部屋から出られずとも、この宿舎の壁は然程厚くない。
声やノックの音は壁を突き抜ける。
噂は生徒中に知れ渡る。
後は、今朝から姿を見ていない、姿を見せない教員が居るという
それと、隣部屋の壁を叩いても反応が無い生徒が二人居る。という
身近な人物が死んだという刺激的なニュース。
刺激の少ないここの世間知らずな生徒達は好奇心と狂喜でそれに飛び付くだろう。
が、殺人という刺激は直ぐに恐怖心と狂気に変わる。
対岸の火事なら面白いだろうが、自分が燃やされるなら恐怖が訪れる。
人殺しの恐怖…否、真に人の命の重さを知り給え。
職員棟。
普段ならば教員達は授業の準備をして、それぞれの受け持つ教室にて授業をしている時間。普段ならほぼ無人で静まり返っている職員棟だが、今日は違う。
教員がほぼ全員職員棟に集結していた。と言っても、そこに居る人間は皆口を開かず、その上で教員は二種類に分けられた。
苦痛に歪めた顔の人間と、涙目の人間。その二種類だ。
が、例外的に一人だけ。無表情を貼り付けた者が居た。
と言っても、何時もの表情が睨む様な顔故に他の面子と全く違わない。
「ミス=メイデイ。それで?」
表情を変えぬまま、例外の一人。ミス=フィアレディーが口を開いた。
それは重い沈黙を破るものでは無い。
一晩で由緒有るアールブルー学園の敷地内で殺人が三件起こるという、最悪と言って良い現状。
彼女のその一言は、更に悪い出来事が在る事を皆に示唆していた。
そして、フィアレディーに呼ばれて立ち上がったのは、白衣に身を包んだ中年女性。
手元に在る書類を見て一息。
「はい、報告します。
検死をしたところ、先ず、ナーク=テ=ヨルダンの死因は首を折られたことによる頸髄損傷でした。」
職員の幾人かが身体を震わせる。
殺人と言う非日常的異常を正しく認識出来ず、受け止め切れていなかった彼、彼女らはその現実を叩きつけられた。
「エスパダ=ソド=エジール、パウワン=デン=ボクムズは?」
「エスパダ=ソド=エジールに関しては全身の打撲痕を見て当初階段から落ちた事が死因かと思われましたが、その後、パウワン=デン=ボクムズを検死した所、両名とも顎に何かを刺された痕跡が有り、酷似した発疹等が見られたので、結論としては、両名共毒殺かと思われます。」
「毒の詳細は?」
「不明です。」
「事故の可能性は?」
「……有りません。
間違い無く、他殺。殺人です。」
その場に居た全員が息を呑んだ。
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