状況整理


 さて、今までの起こった事の整理と行こう。


 アールブルー学園に立て籠もり犯が現れ、シェリー君は人身御供とばかりに人質にされてしまう。

 彼らはそれぞれ借金を抱え、この学園に有る金品を狙ってやって来ていた。

 で、道中狙撃手に襲われて間一髪頭が爆裂し掛けたお気楽立て籠もり犯の一人の命拾いをして、人質シェリー君が立て篭もり犯の頭目をするという可笑しなおかしな状況に突入。

 凶弾を避けて学長室に行くとそこには隠しドア。ドアを潜り抜けるとそこはダンジョン!

 そんなダンジョンでゴーレムの大軍に出迎えされ、それを瓦礫に変え、5人の立て籠もり犯の内の1人が爆発で瀕死になりつつも、お宝の在り処へと辿り着いた訳だが、お宝の正体は貴族達が不正に溜め込んだ金だった。

 要は、この大掛かりなダンジョンは大型金庫という訳だった。

 いやぁ、流石にこの規模は驚いたかな⁉学校の地下に作るものではないだろう?普通。

 で、宝を物色して脱出を図ろうとすると狙撃手からの追撃を受けて今に至る。




 起こった事の整理はした。さぁ、見え見えだが、ここまでの事が起こった原因まで解明しよう。


 Q.何故、立て籠もり犯が現れたか?

 A.5人共に、急に出来た借金に困り、この学園に価値有る金品の類が有る事を知ったからここに乗り込んできた。

 Q.ダンジョンが出来たのは何時?

 A.火事の後、つまり夏休みの間に出来た。火事のゴタゴタのドサクサに紛れてコレをこさえた…という奴だ。

 Q.狙撃手は何者で何故ここに居るか?

 A.少なくとも我々の敵である。この状況で我々立て籠もり犯に対する障害、始末役として雇われたのだろう。

 が、この二人は雇い主の意見を図太くも無視している。

 立て籠もり犯をもし本当に始末したければ、外で幾らでも始末が出来た。

 ただし、それはシェリー君諸共に……だ。

 私の予想が大きく外れてでもいない限り、シェリー君は立て籠もり犯諸共に抹殺されて然るべきだ。

 それを行わない要因が有るとすれば、それは傭兵を雇った人間では無く、雇われた人間の意志が関わっている。

 Q.何故こんな場所に金庫が有るか?

 A.学園側と貴族側がグルになって裏金隠しを行っているから。

 誰も学園に不正な金を隠しているとは思わないし、そもそもこの伏魔殿に特攻する連中が居ない。

 そんな環境的警備が有りながらも、不安が拭えなかった各々の警戒の度合を見て解る通り、本気度は容易に窺える。




 さて、問題だ。

 Q.何故そんな警備の厳重な場所に5人は入り込めたか?


 A.あの5人がここまで何の手助けも無しに来た?忘れたかね?ここの柵には今、センサーが付いている。

 この連中が持っている物資で本来の警備システムを掻い潜る事は出来ない。

 出来たら出来たでここまで手際は悪くない。

 そもそも手際が良ければそもそも借金で首が回らないからと言って胡散臭い身元不明の誰かさんの甘言には乗らない。




 解るかね?

 ここに来るまで少なくとも5つの意思が関わってこの面倒が起こっている。

 で、それは『少なくとも5つ』だ。


 6つ目が有る。

 5つはここに有った宝を間違い無く守る気だ。

 そして、6つ目だけがここに有る宝を持ち出そうとしていた。


 まぁ、矛盾……まぁ、全員の意見が一方に向いておらず、食い違っている訳だ。

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