探検と行動


6人は石造りの階段へと足を踏み入れていく。

後ろの方でゴゴゴゴと音がして、本棚が元通りになっていく。逃げ場は無くなった。覚悟を決めて更に奥へと進んでいく。

階段幅は人が一人辛うじて通れるレベル。高さは2m強。

シェリー君を先頭にして6人でゾロゾロと学園の秘された最奥に下っていく。

 明かりが無い中での暗中模索と思いきや、幸い、丁度壁の、目線の当たりの高さに松明が有り、本棚が閉じて真っ暗になったと思いきや、松明にひとりでに火が付いた。

お陰で暗がりで足元がおぼつかない。なんてことは無い。

 「まさか……こんな所か有るとはナァ………」

 長身痩身が感心して辺りを、と言っても石の壁だけしか無いが、見回す。

 「こんな風になってたんじゃ、見つかる訳無かったにー。」

 筋肉質な男が感心しつつ、少しビクビクしながら階段を降りる。

 「ヌゥ……随分大掛かりな仕掛けだ……。」

 中肉中背が棍を斜めに持ち、地面と天井につっかえそうになりながら難しそうな顔をする。

 「ねぇねぇねぇ、これって元々学園の下に有った遺跡みたいなのを学園の部屋と繋げただけって事は無い?ホントに仕掛け?」

 不健康そうな猫背は階段を降りながら前の様子を楽しい物でも有ると確信しているかの様にキョロキョロ何かを探している。

 「うーん…………それは…………無いんじゃ無いかのー?

 この壁や松明、見た感じ、最近出来たばっかの建物っぽいが……………のー…。」

 小柄な肥満がそこらの石材を叩いて観察する。

 その通り。この階段は最近作られたばかり。

 この空間自体、空気が然程淀んでいないし、松明にもススが無い。

 新鮮そのもの。作りたての石造りの階段である。

 まぁ、ここまで露骨な仕掛けがたっぷり有る訳だ。ネタバラシなんてするまでも無いだろうが、犯人を宣言する機会なんて滅多に無いから敢えて言おう。

 「これを作った犯人は、学長だ!」


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


 「レン、見えるか?」

 「イエ、全然、動きが全く無いっす。」

 傭兵二人は宿舎の一画から校舎を見渡している。しかし、先程の煙幕→閃光の後、煙が晴れた後の校舎を睨みつけているが、一切の動きが無い。

 教室内に逃げ込んだ?いや、アイツらの動き方からしてそれは無いだろう。

 そこらの教室ならば、ウィリアムで壁ごとぶち抜ける。

 それは向こうも十二分に承知している筈だ。だからこそ煙幕と閃光を使って俺達の目とウィリアムを完全封殺した。

 こちらが業を煮やしてさっきみたいにウィリアムを連射する可能性を向こうは考える筈。そんな悪手はしまい。

 ならば、もし、そこまでの事を考える様な奴なら、あの部屋に入るだろう。

 照準を向けた先に有るのは、他の教室の扉とは違って豪華で悪趣味装飾がこれでもかと施された扉。

 あの扉ならウィリアムでブチ抜くのは骨が折れそうだ。

 で、奴等の居る場所は予想出来た………が、奴等はあそこで何をしているか?それが問題だ。

 「どうすっかねー……メンドーだねー。ハァ…………。」

 「如何するんすカ?あの壁ぶち抜いて脅かしますか?」

 ペチン

 「アホ言え。向こうさんの企みも、何してっかも解んねーのにやってられっか。

 また俺達揃って閃光喰らって…てな事なら未だマシだが、もっとヒデー事になりかねねーぞぉ。」

 「じゃぁ………………何します?このままって訳にもいかないでしょう?」

 レンの言う事ももっともだ。

 『待ち』は戦略だが、停滞は不味い。

 この場合、あの嬢ちゃんが害されるリスクが増えていく。

…………………………………………にしても…妙だ。

動きが無さ過ぎる。



 「ヘェ………仕方ね。」

 構えていたウィリアムを下ろして部屋の外に出て行った。

 「ちょ、ジャリスさん!ジャリス先輩!どこ行くんすカ⁉」

 傭兵は宿舎の一室から消えていった。

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