DUNGEON!PASSION!DESTRUCTIOOOOOOON!!!!!

 「随分下まで来たナァ。」

 松明に照らされた幅の狭い石階段を降りる降りる。

 途中でカーブを描いて石階段は下へと伸びていた。

 現在、ほぼ地表と同じ高さ。

 元々自分の居た高さが解り、階段の高さと降りた段数が解れば、後は掛け算と引き算をするだけ。

 「ここから丁度地下。さぁ、鬼が出るか?蛇が出るか?楽しみだ。」

 「教授?私は今、全く笑えない状況なのですが?」

 シェリー君の顔が強張る。

 「君はこの状況に胸躍らないのかね?

 本棚の隠し扉。その先は石の階段。地下へと伸びていき、その先に何があるか?

 実に冒険譚染みていて、私ならばスキップしているがね…。」

 「昔話のダンジョンを彷彿とさせて私は気が抜けません。

 鬼や蛇程度ならマシですが、罠が仕掛けられている可能性がありますし、モンスターと遭遇する様な可能性も有りますし、一体どうなることか…。」

 『ダンジョン』

 この世界の各地に有る、所謂太古から在る地下遺跡や、逆に海底に沈む海底遺跡や、飛行し続けている空中遺跡の事だそうだ。

 その中には私の記憶に存在しないゲル状生命体や、操り糸無く動き出す空の鎧や、火を吹くドラゴンや、大きな一つ目の蝙蝠擬きが生息する。

 まさに御伽話の中を再現したような世界だ。

 「『ダンジョン』実に良い響きだ。

 聞けば貴重な鉱物や財宝やオーバーテクノロジーの産物まで有るそうじゃないか。

 実に楽しそうだ!是非とも後程行ってみよう!軽く一財産築きに行ってみよう!」

 「軽く言わないで下さい。ダンジョンに入る人々は命懸けなのですよ?

 それに、この先に何があるかで私達がどうなるかが変わってくるかもしれないのですよ?命懸けなのですよ?」

 命懸け?

 あぁ、命懸け。

 そうだとも。命懸け。

 この探索。最早シェリー君は5人の立て籠もり犯と一蓮托生。

 下手な事をすれば即、命の危機。

 だからどうした?

 「それは、いつも通りだろう?

 君の味方は居ないも同然。

 周りは君を陥れようとしている。

 一手間違えれば致命傷。

 いつもの事だ。生きるか死ぬかの日常茶飯事。さぁ、行こう。いつも通り・・・・・、思い切り行きなさい。

 命の危機が有れば、まぁ、私が助けよう。」

 「……………そうですね…そうでした。

 そうです。いつもの事です。いつも通り、私はベストを尽くしていきましょう!」

 石の螺旋の終わりが見えて来た。

 校舎の地下、約7m。

 階段の先には石造りの大きな空間が広がっていた。石の…洞窟とでも言えば良いかな?

 階段の時同様に松明が御丁寧に配置され、ボンヤリと石廊が照らされていた。


「「「「「………………」」」」」

 五人は固まっていた。まぁ、当然だろう。お嬢様学園の地下にこんな施設が有るだなんて誰が想像する?

 「これは……凄いものですね。」

 シェリー君も素直に驚く。自分達の学び舎の下に、未知の空間が広がっていればそう思うだろう。




 「ヨッッッッッッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 DUNGEON!PASSION!DESTRUCTIOOOOOOON!!!!!!」

 一人だけはしゃいでいる大人が居た。

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