スクールジャックと不合格
長身で痩身、筋肉質、中肉中背、猫背、小柄な肥満、五人の男が教室内になだれ込んできた。
男達の目は血走り、手には、命を奪い取る目的の為に生み出された事だけが解る斧や剣、棍や杖が握られていた。
招かれざる客がお出ましだ。
「何です?貴方達は………」「動くんじゃぁねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
教師が招かれざる客に対して向かっていくと、先頭に居た長身痩身が怒鳴った。
それに驚いた教師が腰を抜かし、生徒陣も体を震わせた。
「お前ら全員動くな!動けば皆殺しにする。」
そう言いつつ長身痩身が猫背に合図を送る。
バン!!
猫背は天井に持っていた杖を向けると炸裂音を響かせた。
杖の先端から煙が立ち上った。
「「「「キャァ!」」」」
ようやっと目の前に迫る危機に気付き、騒ぎ出す生徒。ある者は泣き出し、ある者は地に伏し、ある者は気絶し、中には騒ぎ立てて逃げ出そうとする者も居た。
「動くんじゃねぇ!ぶっ殺すって言っただろ!」
「これは………教授がおっしゃっていた、所謂…?」
流石に夏休みの成果が出たのかシェリー君は落ち着き払っていた。
まぁ、しかし、落ち着き払いすぎな感は否めない。鈍くなり過ぎるのも問題だ。
「あぁ、所謂『立て
『人質を殺されたくなかったら要求を飲め。』と言って、人質を使った脅迫をするものだ。」
ここは貴族の令嬢犇めき蠢くアールブルー学園。
近場の小娘の数人を捕まえれば確実に大金を巻き上げられるだろうさ。
「教授、どうしましょう?
この様子なら教室に散らばる前に制圧が出来るかと。」
そう言いながら教室の前で武器を突き付けて生徒達を威嚇している立て籠り犯を見た。
相手の得物は近接4つと飛び道具1つ。
こちらにはゴム球が1つ。
考えるまでもなくこちらが本来は不利だ。
「制圧プランは?」
「ゴム球の強度強化を既に完了しました。5人の視線がこちら側から外れた瞬間、この強化ゴム球を身体強化魔法で強化した指で弾き、最初に飛び道具持ちの杖の人を無力化します。
そして、無力化と同時に全身を強化して走り、残る4人との距離を詰めます。
気付かれたら途中、ゴム球を他の方から拝借して牽制します。
距離を詰められたら、後はただの4対1。
1分と経たずに制圧出来るかと。 如何でしょうか?」
今、シェリー君と私の脳内で、目の前の立て籠り犯が為す術無く制圧された。
今のシェリー君ならばそのプランを確実に実行出来る実力が有る。
失敗して私がフォローに回る必要は無い。
が、しかし。
「立て籠り犯の制圧としては合格だが、残念ながら、シェリー君の今の状況でそれをやるのは不合格だ。」
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