新校舎の設備1
「皆様お久しぶりです。
夏休みが終わり、新学期が始まりました。既に夏休みは終わりましたので、その点を決して忘れない様に。無論休み中に気を緩める様な輩はこの学園に居ない事は十二分に承知していますが、改めて気を引き締めて、学園生活を送る様に。良いですね?
特に前学期は気の緩んだ者が多かったと記憶しています。
同じ様な事が今学期にも起こった場合、私も然るべき措置を取らねばなりませんので……………………………」
学校を一通り見て終わり、教室に集められた生徒達は座らされていた。部屋の壁際には教師が取り囲むように立っていた。
そうして座らされた生徒達の前にフィアレディーは仁王立ちし、生徒達は睨みつけるフィアレディーの訓話に耳を傾けさせられていた。
内容からは前学期の失態に対しての怒りが見え、今学期には同じような失態が無い様に釘を刺していた。
それはそうだ。
前学期は生徒だけで無く、教師にも失態が起こり、殺人未遂の暴力行為や、建造物丸ごと炭になる様な大惨事まで起きたのだ。
本来ならば人が死んでいてもおかしくない出来事が幾つも起きている。
これで同じような事が今学期も起きたら洒落になるまい。
「あなた達、教師陣や私も含めた全員に、淑女としての立ち振る舞いと高貴さを強く望みます。
話は以上。
次に新校舎や宿舎においての注意点等についてのお話が有ります。
ミス=アベル。お願いします。」
一通り怒りを滲ませた訓話を終えてフィアレディーは下がった。
そうして次に出て来たのは眼鏡を掛けた色黒の女性。
青い目に艶やかな金髪。眼光はフィアレディーとはまた違った鋭さが有った。
「では、お話を。
つい先日の火事によって本校舎及び宿舎は建て直しという事態になりました。
多大なる厚意とお力添えを頂いたお陰で無事こうして新学期を始める事が出来ましたが、以前の事態を踏まえ、学園全体の構造や設備、警備システムに大きな改良が加えられました。
それに関する注意点を今回述べさせて頂きます。」
素晴らしい。特に警備システムに改良が加えられたことは素晴らしい。
今までの柵一つと教師一人の見回り程度では正直警備とは呼べず、今となってはシェリー君のレベルにそぐわないと思っていた。
もう少しまともな警備が有るならば、敢えてシェリー君に夜中の学園を歩かせたり、近くの森で採取をさせたりすることが出来る…………と言っても。
「あまり期待は出来ないがねぇ。」
「出来ませんか?」
「あぁ、あまり………な。」
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