小炎上

「何の用でしょう?」

ミスフィアレディーが怪訝そうな顔でこちらを見る。

「いえ、ミス=ミリネリアから、ミス=フィアレディーが呼んでいた。と言われまして。

夏季休業の荷物の事かと思いまして……宿舎から荷物を取って来たのですが………。」

そう言って荷物に視線を向ける。

教科書以外は全て梱包しておいた。最早部屋には何も無い。

「おかしなことを言いますね。私はそんな事言っていませんけど?」

まぁ、知っていたのだがね。しかし、そう言われたのは事実。

ここでそう言われてここまで・・・・・・・・・・来た・・という事実が重要なのだ。

「まぁ、良いでしょう。ここ迄わざわざ持って来たのです。少し早いですが、荷物を置いておきなさい。

ここに置いておいて困るものは有りますか?」

「いいえ、御座いません。

お気遣いありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます。」

「次の授業まで時間は有りません。急ぎなさい。」

「解りました。」

そう言って荷物を職員棟へと運び入れた途端。

パン!パパパパパパンパパン!

外から連続で何かが弾けるような炸裂音が聞こえて来た。

「何事ですか⁉」

フィアレディーがしかめっ面で外を見る。

始まったか。丁度良い。

「様子を見て来ます!」

そう言ってフィアレディーが何かを言う余地が無い様に走り出す。

「あ、待ちなさい、ミス!ミス=モリアーティー!」

後ろから追いかけて来る。

さぁ、来なさい。

全ての駒は私の意のままだ。




パンパン パパパパパパン

燃えた本から火の玉が飛び出して来る。

「ギャー!」

「何⁉何なの⁉」

「熱っ!熱い!ぶつかったぁ!」

音のする方へと向かうと、三人娘がその場でオタオタオタオタをながらその場で硬直したり、転げ回ったり、隅で縮こまっていたり…………火柱を中心にとんでもない光景が広がっていた。

「何事ですか⁉」

追いかけて来たフィアレディーがその場を見て絶句する。


パンパパパン!  パリーン!


丁度良い具合に炸裂した何かが校舎の窓ガラスに直撃し、割れる。

「ボヤです!直ぐに消さないと。」

そう言いつつ、シェリー君に指示を出す。

「シェリー君、あの火元を土で覆ってしまう事は出来るかね?」

「えぇ、何とか、でも教授、水では無くて良いのですか?」

「あぁ、土で覆って、何なら埋めてしまってくれ。」


フッ


『土壌操作』

地面が揺れ、火柱の周りを覆う様に土が盛り上がったと思うと。


ボン


盛り上がった土が炎を覆うようにして埋めた。


消火完了だ。

「シェリー君、ご苦労様。さぁ、急いで授業に戻るとしよう。」

「あの、教授?説明して下さい!教授ですよね?一体何をしたんですか⁉」



後にはミスフィアレディーと三人のレッドラインが残った。

「ミス=レッドラインお三方、説明して貰いますよ。」

怒りが籠った口調で三人を睨みつけた。

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