炸裂する作戦
ミリネリアがアイツを教室から引き離す。
その時に急ぐ様に仕向けて教科書を持って行かない様に仕向ける。
私とセントレアが入り口を見張り、ミリネリアが教科書を取り、それを何食わぬ顔で持ち出す。
教師陣……いいえ、あのミス=フィアレディーがこれを目撃するリスクを除けばこの作戦は上手くいく。
他の令嬢連中が見た所で私達を売るなんて真似はしない。
他の連中も正直言ってアイツが邪魔で仕方ないのだから。
感謝こそされても非難はされない。
アイツの味方などここには居ないのだ。
廊下を歩きながら、妹達が私と教科書を覗き込む。
「ホホホ、姉様、それを如何するのです?」
ミリネリアが私の手の中に有る緑色の装丁の教科書を見て訊ねる。
「当然、使えないようにします。」
「フフ、フフフフフ。どうするんです?破ります?それとも、トイレにでも流してしまいます?」
セントレアも楽しげに笑って教科書を見る。
「オーッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!甘いですわよ二人共ッ!
破る程度、水に濡らす程度では復元されてしまいます。
何より、トイレに本を流すにしろ、復元不可能にするにしろ、バラバラに切り刻まなければなりません。それは面倒というもの。
何より、水系は貴女達が失敗したでしょう?
水を使わず、面倒な事をせず、修復不可能な方法。と来れば…………燃やすのが一番でしょう?」
・これ見よがしに教科書は置いて来た。
・今まで水に関連した手法でしくじった事は、三人の脳には焼き付いている。
ならば次にやる事。それは教科書を燃やす事だ。
校舎裏、普段から誰も来ず、誰に見られる事も無い。
私達も次の授業が有る手前、逐一ページを破って燃やす暇は無い。
少し穴を掘って、直ぐ傍の物置に置いてあった油を掛けて、火を着けて放置すれば、アイツが気付く頃には教科書は灰になっているだろう。
アイツは明日からどうやって勉強するだろうか?
教科書が無ければ勉強は出来ないだろうな。
アイツには教科書を買うような金は無いだろう。
それとも、もう来ないだろうか?
だと良いな。
「姉様、穴が掘れましたよ。」
「教科書をここに。さぁ、火を着けてしまいましょう。」
誰も気付いていない。
ボンッ
トポトポトポトポトポトポトポトポトポトポトポトポトポトポトポ
穴の中に本を落とし、油を掛ける。
『点火』
ボォッ!
穴の中で火が燃え盛る。
「オーッホッホッホッホッホ!さぁ、行きましょう。」
「フフ、フフフフフフフ。どんな顔するか楽しみね。」
「ハハハ、燃えて、燃えて、燃えて………ハハハハハハハ。」
轟々と燃える火を後に、授業へと戻るべく、後にしようとして。
パァン!
乾いた破裂音が響いた。
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