プロジェクト:professor
「もう一つ良いかね?」
「何ですか?」
「夏休みはそこそこの期間が有ると思うのだが、その間君は何処に行くのかね?
実家かね?それとも学費を出してくれる人の所へ顔を出しに行くのかね?」
シェリー君は首を傾げてこう言った。
次の言葉は、予想はしていた。
「いえ、宿舎に残って勉強ですが?」
「…………夏休みずっと…………かね?」
嫌な予感というか………次に何を言うかはとっくに解ってはいる。
が、その現実を直視する事は非常に…………………
「えぇ、夏休み中ずっと、無理を言って宿舎に居させて貰っています。」
直視させられた。
嗚呼、なんてことだ!
勉学に勤しむのは良いが、折角自由が有るというのにこんな場所に居るなんて!
君はこの地獄でさんざん苦しめられてきた。
未だに苦しみ自体は存在している。
地獄の釜が開いて折角束の間であれど自由になれるというのに何故そんな真似を?
「おいおいおい、シェリー君?こんな所にどうしてずっと籠っているのかね?」
「いえ、故郷は有っても家族は居ませんし、学費の礼は社会貢献で良いから勉強しろと言われていますし………。」
嗚呼、駄目だ。シェリー君の真面目な性格が突き抜けた結果、勉強機械と化している。
このままだと間違いなく夏休みが終わる迄一日たりとて休まずに机に向かい続けかねない。
「いやぁその………………少し休憩がてら実家に帰ったり、旅に出たりとかは……………。」
「いえ、そういう訳には行きません。
いち早く私は教授に近付かなければなりません。
微量でも毎日積み重ねれば………です。ですが、一日でも欠かしてはそれは
駄目だ。少しばかりの説得や洗脳程度ではどうにもならない。
洗脳が出来ないことも無い。しかし、やっている事や上を目指そうという思い事態には何も問題は無い。
故に、逆に洗脳してしまっては意味が無い。
かと言って説得は無理だ。絶対に。
勉強する気は満々だし……………なぁ。
勉強は私が居る限り問題無いし、このままでいけば夏休み序盤で何も勉強する事が無くなる。
机上の論理ばかりでは実用性に欠ける。賊の百人程度なら………とは言ったが、机上の空論だけでは如何にもならない。実現は困難だ。
では、どうすれば良いかね?
そう、簡単な話だ。
たとえば、シェリー君がこの学園、宿舎に
流石のシェリー君も追い出されては如何にも出来まい。
設備が使えなくなってはここには居られまい。
問題はそれを如何やって引き起こすか?という事だが…………
ガラガラガラ
目の前に丁度良い人材が現れた。
授業も中盤。そこそこ経ったところで重役出勤してきたそっくりな姉妹三人。
その目は此方に向けられていた。悪意が有った。
決めた。そうしよう。
私の中で計画がスタートした。
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