奇行、尾行、作戦は順調に遂行
妹は考え過ぎた。
糸を張り、バケツに泥水を用意し、緻密に用意周到に罠を張った。
これ以上無く考えられていたと言って良い。
否、
あんな奴を相手に利口な獣相手に狩猟するような精巧な手段は過ぎていた。
過ぎたるは及ばざるが如し。
ゴミ掃除ならば適当にそこら辺に有るものを使って終わらせれば良い。
生徒達は私の掃除を咎めよう。とはしない。寧ろ応援してくれるだろう。
アイツが教師に泣き付いても教師は
何をどうやっても失敗するイメージは湧かない。
ただ、失敗するイメージは無くても問題は有る。警戒する相手は居る。
『ミス=フィアレディー』
見付かればたとえ私達であっても問答無用で鞭が飛んでくる。
存在の貴賤も解らない、無恥で無知で鞭の悪魔である。
アレにさえ警戒すればチャンスは幾らでもある。そして、チャンスが有れば絶対成功する。
尾行して隙を見付けて適当な物を使って終わらせる。
休み時間が勝負……いえ、『負け』はないから『
アイツの後ろを気付かれないように尾行して、私はその時を虎視眈々と待っていた。
「あれは何かね?」
あれは何のつもりだ?
シェリー君に言った言葉と頭の中の「?」は同じ事がらを示していた。
後ろからフラフラフラフラ………右へ走ったと思えば左に飛び出す。
もしかする事も無いが、あれは私の知らない魔法の儀式か?はたまた酔っぱらいか? 「アレ。と言うのは…………何ですか?」
気付いていないのかね?
「後ろから変な動きでやって来る娘(中)だよ。
さっきからキョンシーだかゾンビだかアンデッドごっこなのかは知らないが、柱の横に張り付いたり、曲がり角から首だけ出したり、下手なバレリーナの下手な真似事をしながら君の後ろを生まれたてのアヒルよろしく着いて来ている。
もっと言えばその更に後ろにも娘(大)と娘(小)もくっついて同じような奇行をしている。」
珍妙過ぎて流石の私も首を傾げる。
「…………教授の話を聞く限り、それは…………」
シェリー君が言い難そうに言葉を紡ごうとして躊躇う。
「遠慮は要らないさ、私にも見た事の無いものや知らない事はある。
無知は恥じることはない。無知を無知のままにする事、『無恥』こそ恥ずべき事だ。
シェリー君、どうか私に君の知る事を教えてくれないかね?」
「あ…………はい。
多分、ですよ?
それは……私の事を尾行しているのではないのでしょうか?」
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?
あれが尾行だと?
「尾行は、『気付かれずに相手を追跡する』。位の意味だとばかり思っていたのだが?」
「はい、ですから私は教授に言われるまで気付きませんでした。」
問題だな。
後程シェリー君には対尾行用技能をキッチリ叩き込むとして………。
一応向こうは尾行(?)をしている訳で、その理由は私の望む行動の準備であろう。
ならば………教えてあげよう。
尾行が失敗した者の末路を。
杜撰な行動の代償を。
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