第24話 白馬に乗った王子様は流鏑馬のおじ様。

「キャーッ白馬に乗った王子様よっ!」


「素敵ねえ、あの衣装もいいわよ。」


狩衣かりぎぬ烏帽子えぼしね。」


「けんちゃんと甲斐君もやってみたら、モテモテだよ。」


「モテモテにはなりたいけど、弓よりまず馬に乗らなきゃダメだろ。」


 今日は弓道部の二年生で遊びに来ている。

 目的は流鏑馬やぶさめ見学。

 なので、白馬に乗った王子様の正体は実はけっこういい歳したおじ様。

 白馬に乗った王子様が私を迎えにって外国の童話にあるけど、日本にもあるじゃん。

 流鏑馬は馬に乗って走っている最中に弓を引いて、矢を的に中てる日本古来の伝統もの。

 白馬に乗った狩衣のおじ様が、次々と的を射抜いていく。ああ、素敵。


「あれ、簡単にててるようでとっても難しそうだね。馬に乗って走るだけでも大変そうなのに。」


手綱たづな離すの、無理だって。落馬しそう。」


「馬から的まではそんなに遠くなさそうだね。」


「パカパカくらいならいけそうだけど、疾走してたら厳しいよ。」


 もともと弓って狩やいくさのためだったのを、弓道という武道にしたんだから、野趣のある流鏑馬と私たちがやっている弓道とは別物だろう。

 ありえないくらいに素早く引いて、矢を離している。それにしてもかっこいい。

 もし、あきらが狩衣姿で弓矢をもって白馬で登場したら、……考えただけでよだれが出そう。

 彼氏のいるエミとトモだけじゃなく、女子は全員脳内で狩衣彼氏とデート中のようだ。

 ああ、あきらと一緒に流鏑馬したい。いや、私は姫?

『友香姫のために、すべての的を射抜くよ。』『私の心はすでにあなたに射抜かれております。』ぐふふ。


「友香、気持ち悪い笑い方してるよ。」


「ねえ、近くに乗馬体験できるとこあるよ。今度みんなで行こうよ。」


 あきらからのライン。

『流鏑馬どうだったかな。』

『幸せな妄想をしていました。』

『?楽しそうだね。』

『うん、今度乗馬も行ってくるね。』


 今月なかなか会えないなあ。















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