第19話 きみの名は……
「一色さん、シオリとやってるあのインテリメガネ、誰?」
「私の彼氏の金城君。小川君、言い方が悪口っぽかったよ。」
「ごめんなさい。」
本日、バレー部とバスケ部がいないので、K高校卓球部が男子も女子もS高校に来て一緒に練習している。
私は自主練で休憩しがてら体育館に来ていて、陸上部のプリンス、小川君は部活が終わって帰るところをちょっとシオリのことをのぞいたらしい。
シオリはカットマンが苦手らしくて、カットマンと練習したいって言ってたな。
大抵の人はラケットを体の前で振る、攻撃型のタイプだ。カットマンは体の横らへんで、ラケットを縦に切るような振り方でとにかく拾いまくって相手のミスが出るまでひたすら我慢するタイプだ。素人でも気を付けて見れば、判断できる。
「二人ともかっこいいね。」
「うん。」
「小川君、僕が見てるから頑張れとか、頑張ってるシオリは素敵だとかラインしたら…。あ――っ私が言ったとおりにラインしないでよ!」
あれっ、優斗と翔太君も紛れ込んでる。
どこから聞きつけたのか、どういう伝手を使ったのか。
もう先週位に部活、引退したはずでは。受験勉強しなさいよ。まったく。
「田中さん、オレもカットマンです。次、お願いします!」
「僕もお願いします!」
金城君との後で、シオリは私の弟と気づいて相手になってくれる。
「一色さん、今シオリと練習してるちっさいの、知ってる?」
「ゼッケン見てよ、私の弟だよ!悪口言わないでね、小川君。いちいち、練習相手のこと知らなくったっていいじゃないの。メンドクサイ人ね。」
「本当にごめんなさい。」
「ああ、あそこにいる荒木君が、シオリのこと狙ってるって言ってたかな。」
「なんだって!」
「卓球女子は上手い卓球男子が好きだから、気を付けた方がいいよ。」
ちょっと意地悪で
小川君は陸上でもそういうことがあるのか、身に覚えのあるような顔をして引きつっている。
私だって、弓道百発百中男子に告られたら相当揺らぐよ。
まあ、あきらのほうがいいけど、たぶん。
「今度デートで卓球教えてとか、卓球をしている君が大好きとかライン…。だから、私が言ったままのこと、ラインするのはやめてってば!」
その日の夜、あきらからライン。
『今日、友香が体育館でしゃべってたやつ、誰?』
『……シオリの彼の小川君。』
どいつもこいつも!
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