第5話【女子力と器用さは紙一重】

【某友人宅】


 小さなテーブルを囲うように座るのは、仲良し三人の魔法少女仲間だ。

【朝熊弓弧】【只野モブ子】【影薄モブ美】


「弓弧、あんた最近良く魔物と出会うみたいだけど平気なの?」


 珍しく乙女の様に、自慢の艶やかなピンク髪を指先で弄りだす。

「出会うというか……歩いてたら、勝手にエンカウントするんだよねー」


 魔法少女という限定された空間で働いており、育ち盛りとあって食欲旺盛なモブ子は酔っていたが気づいてしまった。

「てか、このからあげ変な形してない?カニなの?」


 そう、弓弧は当然の様に倒した魔物を保存し、酒のつまみとして調理しエコと称して食べるのが日課だ。


「この前倒した蠍の魔物を冷凍保存してちょこちょこ食べてるんだよ。」


 モブ子は心の中で弓弧の悪口をいうのが日課であり、彼女唯一のストレス発散方法である。

(朝からビール飲んでる魔法少女とかただのばばぁだよなぁ)


 だが、弓弧に心の声などという行いは無意味だ。

 彼女はあらゆる音を聞き分ける耳をもち、読唇術は勿論のこと、行動パターンや考えうる思考を手に取るように把握できるのだ


「今何か言ったかモブ子?」


【何と言うことでしょう。弓弧が握っていた空の大ジョッキは無音で一瞬にして手のひらサイズの美しい鶴へと生まれ変わったではありませんか。命を宿した鶴は、親元を離れるように飛び立ち友人宅を後にしました。きっと恩返しがいつか来るといいですね】


「モブ美ー100年物のワイン飲みたくない?」


「うん!!飲みたいかも!!モブ子はどうする?」


「私が買ってきます。弓弧様……」


「うん、ならよろしくね。モ・ブ・子・さ・ん!!」


「御意」


 近くのワインショップへの道のりおよそ100Mを【8秒09】という人類史上、最速の女性となったモブ子だったが、公式記録に載らないのと弓弧の圧力で寿命が10年縮むのが残念だ。




【参考資料マジカルパンプアップユミコ第5話↓】


 友人A「お前最近よく働くなぁ。」


 ユミコ「そ~かな。休日は、ビール飲んでダラダラしてるからビール腹だわ」


 友人A「ていうかこの唐揚げなに?なんか形おかしくね?」


 ユミコ「さそり。カリカリして旨いだろ?」


 友人B(ビール飲んでる魔法少女とかただのばばあだよな......)


【何ということでしょう。ユミコのジョッキは、職人が作る飴細工の様に躍動感溢れる鶴の形になる】


 ユミコ「B君、私、これ食べたいな🖤」


【豚の丸焼き24000円】


 友人B「御意」

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