3

「なぁ、気持ちイイことしないか?」


「はぁ!? 誘う相手、間違えているわよ! アンタなら、電話一本すれば相手がすぐに見つけられるでしょうが!」


わたしを巻き込まないでほしい!


真面目に平和に17年間過ごしてきたのに!


「あんまり真面目に生きると、人生つまんねーぜ?」


「アンタみたいに破天荒には生きたかないわよ!」


何とかして逃げ出したいのに、腰を掴まれ、肩にも腕を回されては術がない。


「気持ち良いキス、してやるよ」


後ろで彼がニッと笑う。


「ちょっ…やめっ」


抵抗空しく、わたしは彼の正面を向かされた。


そして腰を引き寄せられ、後頭部に手を回された。


「んぅっ!?」


そして彼の熱い唇と、わたしの唇が重なった。


「やっ!」


慌てて顔を背けるも、頭を掴む手が動き、再びキスされる。


何度も弾むようなキスをされ、次第に頭の中が痺れてきた。


「ふぅっ…」


自然と唇が薄く開いた。


彼の眼に鋭い光が宿った。


すかさず彼の舌が伸びて、わたしの口の中に入ってきた。


「んっ、んぅう」


驚いて彼の胸を両手で押すけれど、そんなの彼にとっては抵抗にもならない。


彼の厚い舌が、わたしの舌と絡まる。


甘くて生暖かな感触が、口の中に広がる。


舌のザラザラした表面に、ヌルヌルした裏面が、わたしの口の中で暴れている。


歯茎をなぞられ、頬の内側を舐められ、下腹の辺りがズンッと甘く重くなる。


ヤバッ…!


体が反応してる。


背筋にぞくぞくっ!と甘い痺れが走った。


やっぱり女の子の相手をしている回数がハンパじゃないだけはある。


キスが上手過ぎる…!


わたしの口の中で溜まった二人分の唾液が、唇から頬に伝う。


その感触だけで、足が震えてきた。


腰が抜けそうだけど、彼のしっかりした腕に支えられ、倒れることすら許されない。


すでに体中の力が抜けている。


今はただ、彼とのキスに夢中になっている自分がいるだけ。


胸が熱くなる。


気付けばわたしの両手はただ、彼の胸に触れているだけ…。


「んんっ、ふぅ…!」


甘い声が、自分の口から漏れ出た。


こんな声、聞いたことがない…。

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