呼火、燃え続けるあなたへ。
火の消えた焚火の宝石のような輝きが好きだ。
脈打つように点滅するあの光に名前が与えられているかは知らない。
あまりにも強い赤の世界に、少しずつ、少しずつ、黒点が増していき、消えてゆく。
そこに命を感じた。
小枝をパキパキと折り、息を吹きかければ、たちまち息を吹き返して燃え盛る。
まるで呼び水のように、赤い世界がわぁっと広がる。
乾いていなければならない、小さくなければならない。
乾燥が純粋ならば、小ささは感動だ。
無垢な幼き日の感動を忘れなければ、記憶の導線が火箭を導く。
点火。
心を揺さぶる小さなものの積み重ねが命なのではないか。
具体的な何か。ではなく。粒々の消費された感動の燃えカスが私の正体。
本が、映画が、漫画が、人生のワンシーンが、私に薪を投げ入れ、燃焼させる。
感動だ。
小さな、小さな感動に揺さぶられる。火のように。火のように。
風の強いは特にそうだ。いっそ消えてしまえ。
大丈夫。私は火ではなく、燃えカスの集合体。
熱源であり、消費者であり、過去の集合。
私がもし焚火だったとしても、焚火から一歩離れて見ている傍観者でありたい。
その熱を持ちつつ、熱の美しさに見惚れるような人生にあこがれが鳴りやまない。
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