気持ち悪さの故郷

人によって美醜の感覚が違って当然だ。


たぶん最も遠いところにある美しさと、いつも後ろにある醜さ。


後ろを見れば吐き気を催すほどの醜さを影のように引き連れて、私たちは歩いている。


影を見せまいと、取るコミュニケーションは何ともみっともなくて、いっそのこと一人でいればいいと思ってしまう。


美しい人は、自分の影から目を背けない。


他人の影を見ることなく、自分の影を恥じることもない。


影を恥じぬことは、影に向き合う人だ。


自分よりも汚いものを探す癖をやめよう。


最も醜いのは目を背けることなのだから。


美しくなることは意外と簡単なのかもしれない。


影のリバーシブルになればいいだけなのだから。


もし、遅刻をするならば、予定通りにがむしゃらに動いてみるといい。


もし、先送りにしてしまうのならば、むしろ今すぐやってしまえ。


もし、眠たくて寝てしまうのならば、倒れるくらいに疲れ切ってから寝よう。


影を反転させたような生き方が出来たのならば、それはもはやあなたではない。


裏を返せば、人は麗人だ。欠点だらけの人は、より美しく生まれ変わる。


芋虫が蝶になるように、一瞬で。


自分の影を隠す気持ち悪さを、せめて他者にぶつけないように。


影との戦いに集中していればいい。


他人の影に執着してられるほど、みんな暇にはならないだろうから。

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