悪人の聖人語り
もし、ヒトラーが早朝玄関先を箒で掃除していたら、きっと私は声をかけるだろう。
「細かな汚れこそ、失敗の雑念を生む。私はそれを駆逐しているのだ。」
不機嫌な顔で掃除を続ける姿を見て、地球はこんな人間であふれてしまえと思ってしまう。
悪人のレッテルを張られたものが、イキイキと仕事をしていると、負けた気がする。
どうして、こんな風に世界を見る事が出来なくなってしまったのだろうと、軽いショックを受けてしまうのだ。
思い込みから生れた信念は、少なくとも自分の世界にのみ光をもたらす。
「これは正しい!」と言える何かを脇目も振らずやり続ける人たちで作られた国家があるとするならば、絶対に戦争はしたくない。
彼らは、戦争の技術で月に行ってしまうだろう。
戦争の価値すらも変えてしまうだろう。
もしかして魅力的なカーニバルを開いて、敵国民を懐柔してしまうかもしれない。
厳格な善人よりも、独善的な悪人の方が心が広い。
民主的な外枠を守らせるより、沸いてきたおもちゃを自分好みにカスタマイズする支配者の方が魅力的だからだ。
だから、悪人の仕事は面白い。
型破りで、目的を達成させる。
「面白さ」の矛先で、ルールの鎖を破ってしまう。
法整備された産業ほどつまらないものはない。
IT技術が伸びるのは、法整備が厳格でないからだ。
自由気ままに伸びる草木を、コントロールしようとして品種改良しすぎてしまった。
結果つまらない、大きさを整えた無関心・無反応なジャガイモがはびこる畑が出来てしまったのかもしれない。
ルールの薄い新環境で、派手なおもちゃで暴れまわる無法者が輝く世界になっている。
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