白湯の愛

とても暖かい。


幸せな気持ちに満たされる。


透明なガラスに注がれる白湯には味はない。


身体が紅潮し目の前の人が愛しい。


愛の言葉を呟けど、満たされるのは温度だけ。


透明なガラスに注がれる白湯には味はない。


差違がこの世の始まりだった。


光が生まれて闇が生まれる。


足りないが出来て満足が生まれる。


味の無い白湯では身体は満たされない。


けれども満たされないが故に永遠を垣間見る。


白湯の愛には味はない。


そもそも、万物の境界には味わいなど無く、圧力を加えた先の摩擦にこそ、ザラメのような歯ごたえと甘みが混じると知る。

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