空から落とされた墓

公園の草むらでバッタを捕まえた。

胴が親指よりも太いトノサマバッタだ。

笹のように尖った顔と締まりのない顔にクスリと笑ってしまう。


ふいにバッタの口から醤油のような涎が垂れた。

突然の出来事にビックリして思い切り砂場に投げた。

手のひらに汚れた茶色の汁を水で流し、先程のバッタを探しに行く


砂場にポツンと浮かび上がる一粒の緑色をひょいとつまみ上げる。

怒り。叩きつけた。

(どうして幼児期には残虐な悪魔が顔を出すのだろう。)


パチンと音を立てたバッタを見ると、ピクリピクリと動いている。


あぁ、良かった。

という感情と

まだやらなければいけないのか。

という倦怠感が混ざり

神か、人か、子供か分からなくなる。


死んでしまった姿を見たくないから。

泥団子に詰めて、アスファルトに叩きつけた。


五時のチャイムが鳴る。

家へと帰ろう。


一度だけ振り向き、走って帰った。

今日の晩御飯はなんだろう。


神社前の坂道に射す夕日と灰色の地面に直撃した小さなお墓のことが、今になって忘れられないのだ。

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