幼語り
道端に備えられた花があった。
小春日和。
市役所の脇の空き地に、3本の茎から摘まれたタンポポの蕾。
数枚の笹の葉。
小さなお尻で潰された下草の名残。
ほんの数時間前に行われた暖かな時間が、想像の助力を得て、完全な保存状態のまま熱量が届く。
バスタオル一枚分にも満たない空間が。
2つの幼子の手で作られた神殿となり。
1人の人間の足を止め魔力を帯びて。
大人たちのアスファルトに、ひと足早い春の訪れを告げた。
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