あれも、これも、嘘をつく。


平行線を辿る二人の会話に三人目が現れる。

これにはキルケゴールも驚いた。


突然の乱入者はうそぶいた。


花瓶の周りを回る徘徊者も。

花を探し流離う放浪者も。

等しく愛の言い訳を紡ぐ。


性器の無い幼子が、互いを愛する様子を見るといい。

ギュッと抱き合い、見よう見まねでキスをして、お互いに笑いあう。


相手が笑うから笑うのだ。

抱きつくから、抱き返すのだ。


よって愛の本質は同調にあると知る。

花を愛でるのではなく、香りに惹かれてさまようのでも無く、目の前の花になる。


花になってみる。

花のように風を感じ、花のように水を味わい、花のように光を浴びる。


そうしてようやく混じりあってひとつの花になる。


あれか、これかではなく。

あれは、これなのだ。

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