あれも、これも、嘘をつく。
平行線を辿る二人の会話に三人目が現れる。
これにはキルケゴールも驚いた。
突然の乱入者はうそぶいた。
花瓶の周りを回る徘徊者も。
花を探し流離う放浪者も。
等しく愛の言い訳を紡ぐ。
性器の無い幼子が、互いを愛する様子を見るといい。
ギュッと抱き合い、見よう見まねでキスをして、お互いに笑いあう。
相手が笑うから笑うのだ。
抱きつくから、抱き返すのだ。
よって愛の本質は同調にあると知る。
花を愛でるのではなく、香りに惹かれてさまようのでも無く、目の前の花になる。
花になってみる。
花のように風を感じ、花のように水を味わい、花のように光を浴びる。
そうしてようやく混じりあってひとつの花になる。
あれか、これかではなく。
あれは、これなのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます