灰色ヒマワリの茎は長い

賢さは明確の類義語だ。

例え間違えでも確固たる自信で先導すれば、愚者の群れに賢人が釣られるかもしれない。


人が人の賢さを見るには固有名詞の多さに注目するといい。

あそこ、あれ、ヤバい、

ぼんやりとした言葉を使えば使うほど質量が抜けるように、空っぽの言葉が宙に舞う。


その名を知るものには質量が宿る。

国道2号線と呼ぶか、あそこのコンビニを右に曲がって出てくる道と言うかではあまりにも差があるように感じる。


あいつヤバいよね。

風に乗って聞こえてきたその言葉は愚者のヤマビコ。

そんなものに耳を澄まして、心を汚すことは血の出ないリストカットのようで。


私の事ではないと安心する自分も。

私の事ではないのかと憤慨する自分も。

まとめて嵐が拐ってしまえばいい。


名もない風が踊ることを、羊角風と呼ぶように、ささくれ立つ心のざわつきに名をつけるとしたら。


それは形なく、質量の無い、そして誠意の欠片もない陰口に怯える屠所の歩みなのだろう。


傷つきたいなら、なにもせずに、幸福を祈ればいい。

悪意の無い風に打たれて全てを恨むだろうから。


幻想でも良いから幸せになりたいなら、学び、与えて、動くといい。

冷たく、慈悲の無い低気圧の風が、私に付いた寄生虫を殺すだろうから。

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