女性が二つ持ち、男性が一つしか持たないもの
女性は愛の物差しを二つ持つ。
ひとつは物質的な、物差し。
私が生きるために何が必要かを知り、そして何を齎すのかを測るもの。
これは男性も持っている。男性はこれしか持っていない。
目の前の人を、一つの物差しで見るから、とてもシンプルで、単純で、可愛いのが男性だ。
いくつになっても少年の心を保てるのは、一つの物差しで、まっすぐに、自分を、他人を測ることが出来るから。
一人で生きることを決めるならば、ポケットには一つの物差しで良いはずだ。
女性は愛の物差しを二つ持つ。
もう一つは精神的な、物差し。
四次元的な物差しで、何を与え、何に支えられて生きているかを自分に問うための鏡の物差し。
男性も一時、この物差しが生まれる。
しかし、ポケットに穴が開いているか、あるいは忘れっぽいのか、すぐにこの物差しの存在を忘れてしまう。
目の前の人を、物を、多角的な視野で見て、時間を、物的な差異まで超えて価値を測る超越した物差し。
何の役にも立たない赤子に、自らのすべてを捧げられる女神のような自愛は、天から与えられたものではなく、泉のように、こんこんとあふれ出る。
一人で生きるために必要以上に溢れ出す慈しみの心は、きっと二人目が現れたから。
奇跡的に集まった三本の物差しから命が生まれたならば、結び、形造れば丁度三角形の愛のフィールドが生まれる。
その楽園で育まれる下草や、青空は、きっと不可侵で、台風の中でさえもお互いの顔を見て微笑みあえるようなぬくもりがある。
どうか、楽園を忘れ、一片の綻びから全てが流れ落ちませんように。
全ての歪な三角形が穏やかでありますように。
地上にある不確かな一辺が結びついて星が溢れますように。
あなたが出会う、目の前の一辺が零れ落ちるその前に。
星々を作り、願いを込めて眠りましょう。
明日また会えますように。
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