第37話 防衛戦終結 そして王都復興
「くそっ! 次から次へと
「ねえ、ルスマス。コイツら無視して早く行かない?」
「俺だってそうしたいが、コイツら帝国軍だから蹴散らさない訳には行かないだろ」
ルナが王都に飛んでいった後、俺たちも馬に乗って急いで後を追っていた。そして、王都まであと数時間といった所で潜んでいた帝国軍の襲撃を受けてしまった為、その対処に追われていた。
無限に沸いて出てくるのか、いくら倒してもその勢いは留まるところを知らない。皆もだんだんイライラしてきたようだ。
「なあ、ユーラ。もう面倒だからさ、あれ行くぞ」
「あれですか。了解です、ルスマス」
そうして俺は土属性上級魔法の
「「『
俺の作り出した上空の巨大な岩にユーラの生み出した全てを焼き尽くす炎を
「よーし! 出てこなくなったから今のであらかた仕留めることが出来たみたいだな。凄い疲れるからもうやりたくないが」
「まあ、確かにそうですけどね…… そんな事より早く行かないとルナと王都の人たちが大変ですから早く行きましょう」
「そうだな」
「僕たちにもルナみたいな便利な飛行技があればなぁ…… 今度暇なときに教えてもらおうかな?」
「確かにあれを使えれば便利だろうけど、ルナの使う魔法だからアホみたいな魔力消費量で俺らがまともに使えなかったりしてな」
「あり得るかも」
そんな事を話しながら王都に向かうこと半日、日がすっかり沈み切った頃に到着した。しかし、王都で戦闘があったようで、目についた光景は所々破壊された建物の瓦礫やドラゴン、人間の死体等が散乱している悲惨な状況だった。
「……これは酷い」
「やっぱり敵が来ていたようですね。でも、この様子を見ると占領はされていないみたいです」
都の中を歩き回り、負傷した人が居れば回復魔法を含めた応急手当をする。そんな事をやっていると、突然思い出したかのようにユーラがルナを探し始める。素早くかつ丁寧に治療を済ませると、俺たちも後を追いかけて一緒に探し始めた。
道中、偶然会った騎士団の人に聞いてみると、魔力過剰使用によって気絶したので王城に運び込まれた事が分かった。その瞬間、物凄い速度で王城に向かって走っていった。身体強化の魔法まで使っているらしく、俺たちが全く追い付けない。
そうして俺たちが王城へ着き、ルナの運ばれた部屋に入った時にはもう既にユーラはその場所に居て、一緒のベッドで眠っていた。一瞬俺とリニルシアも同じ部屋の別のベッドで寝ようとも思ったが、流石に女性と一緒の部屋は不味いと思って部屋を出ようとしたら、前に居た女性警備兵にこう言われた。
「あ、ルスマスさん。隣の客間が空いてるので良ければどうですか? ここよりは狭くなってしまいますけど」
「良ければお願いしたいです。ここに戻ってきたばかりで泊まる宿を取ってないので」
そうして俺たち2人は案内された部屋に入り、一晩過ごすこととなった。
「ふぁぁ…… ここは、王城?」
「おはよう、ルナ。古竜を倒したんだって? 凄いね!」
「ユーラおはよう。いつの間に到着してたの?」
「昨日の夜中だよ。ルスマスたちは隣の部屋に居るみたい」
無属性究極魔法の
側に魔力ポーションの瓶が散乱しているところを見るに、誰かが用意して俺の回復を早めてくれたのだろう、流石に。ここまで運んでくれて、更に魔力も回復させてくれた人たちには感謝しかない。
「そう言えば、王都復興手伝いの依頼が来てたんだよね。ルスマスたち自身は賛成だけど、私たち2人の判断に委ねるみたい。どうする?」
「いいんじゃないの? ここまでやったんだし、最後までエールテス王国に付き合うってのも」
「分かった。賛成だって伝えてくるね」
そうしてユーラは俺たち2人の意見を伝えに行くために部屋を出ていき、5分たつと戻ってきた。どうやら早速都に出て作業をするらしいので、俺も支度をして出発する。
落ち着いて改めて王都を見てみると、まあこれが酷い有り様だった。俺が殺ったドラゴンやそれらの戦闘に巻き込まれた召喚士たち、王都の民や騎士団等の亡骸をちらほらみかける。
「もう少し早く収束魔力砲を思い付いていればなぁ……
「まあ、古の風竜を倒したんだから元気出して! もしもルナが倒してくれなかったらもっと多くの人たちが犠牲になってたんだし」
そうユーラに励まされながら今日の復興作業を始める。本来なら王城から修復するはずだったが、エルテス2世とその部下たちの意向により民たちの家や商店等を先に修復する事となった。
俺は飛べる事を生かし、高いところで作業をしているドワーフの建築隊に材料や道具を渡したり、時には自分も教えてもらいながら色塗りをしたりした。
建築材料やドワーフ建築隊などの復興作業に携わっている人たちの食料が足りないとなったら、俺が
作業中に怪我をしたりする人が出れば回復魔法を使える魔導師たちと共に治療に向かったり、何らかのトラブルによる喧嘩を仲裁したり等忙しい日々を過ごした。
そんな感じで作業をする事3ヶ月後の夜、遂に王都襲撃前の生活が送れるまでになり、復興は完了した。
「何だかんだで当初の作業予定より大幅に早く復興終わったよね」
「エルテス2世が全国の建築隊に高額な報酬を掛けて呼び込んだりしたみたい。後は一般作業員として普通の人とか冒険者の人たちを集めたりとかしてたらこんなに早く終わったらしいよ」
「そうなんだ。まあ、何はともあれ復興終わって良かったよね!」
終わった後の全員で大宴会の中で出された料理を皆でワイワイ騒ぎながら食べていると、クルウェイクが声を掛けてきた。
「ちょっと良いか? 度々悪いんだがお前たちに頼み事があるんだ」
「何だ? またなにか帝国絡みでトラブルでもあったのか?」
「実は……」
クルウェイクによると、俺たちが復興作業をしている間にイーゼンセン帝国皇帝に対して根気強く抗議を続けたり、奇跡的に消滅せずに残っていた古竜や各種ドラゴンの素材を送り付ける等の活動をしつこく続けていたらしい。
その結果3週間後に謝罪と、掛かった復興費用+殺した人たちの家族に対する賠償金等の支払いを確約に加え、不可侵条約を結ぶために皇帝が自ら王都に来ることが決まったらしい。
で、その時に今回の立役者である俺たちを連れて行って力を見せつけて貰い、帝国軍が再び侵略しようとする気が起きないようにしたいらしい。
「まあ、いいですよ。侵略側でなければ協力します」
「僕も同じく」
「私たちも同じです」
「うん!」
こうして3週間後、帝国皇帝との条約締結の場にエルテス2世たちと共に出席する事が決まった。
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