第30話 襲来! 暗殺魔導隊
「ちっ! 必中のタイミングで放ったのに避けられるとはね!」
「あの王に私たちの完全隠密スキルを感知出来るほどの能はありませんわ。
「成る程。じゃあアイツのスキルもお前の技術探索で探れるか?」
「分からないけど、やってみましょう」
割れた窓から箒に跨がって空を飛びながら入ってきた赤い帽子の魔女と黄色い帽子の魔女。どうやら俺のスキルを探ろうとしているらしいが、そうはさせない。すぐさま探索系のスキルや魔法を妨害し、探知不能にする魔法『
「……あれ? おかしいわ、スキルが使えない。まさか、あの子に妨害されてる?」
「まさかそんな力があるなんて。こうなったら実力行使で行くよ!」
どうやら俺の魔法は効果を発揮したようだが、急いで居たためにその弱点を消すのを忘れてしまった。それは、
そんな事を考えていると、エルテス2世に向かって2人が暗殺者らしくナイフを持って向かって行ったので、俺は昨日作ったばかりの闇月剣クラバルナと蒼氷剣アイヴァを
「くっ!『ウルトラプロテクト』」
光の障壁を展開し、赤い帽子の魔女は昼間の俺の全力攻撃を受け止めた。だがその瞬間、障壁は見るも無惨に砕け散る。
「え!? 上級防御魔法なのにいとも容易く打ち砕かれた!?」
今の攻撃の際に、アイヴァの『防御障壁を凍てつかせて打ち砕く』と言う効果を発動させる。そこそこ魔力を消費する為多用は出来ないが、上手く使えば強力な防御系の魔法やスキルを多く持つ相手に対しての対抗手段となる。
障壁を打ち砕かれた彼女は驚いて隙が出来た。その時に今度はクラバルナの方で斬りつける。咄嗟に回避されるも、剣の切っ先が相手の二の腕にかすった。
「危ない危ない。後少しで腕が1本持っていかれ――」
クラバルナで彼女の腕に傷をつけることに成功し、剣の効果である『身体の動きを鈍くする呪いを傷を付けた相手に掛ける』によって魔法詠唱が中断されていた。
「呪いを掛けられるとは…… 油断した!」
目に見えて動きが鈍くなっている赤い帽子の魔女。この機を逃さず俺は
「まさかエールテスの王にこんなにも有能な近衛兵が居たとは…… くそっ! 情報をもっと精査するべきだった!」
氷結と呪いの状態異常により動けなくなっている赤い帽子の魔女を魔力の鎖で捕らえ、もう1人の黄色い帽子の魔女を捕らえて尋問しているルスマスたちの元に向かう。
「ルスマス、こっちは終わったよ~」
「お、ルナの方も終わったか。実はな、コイツを倒した後捕まえて尋問したら、『イーゼンセン帝国軍暗殺魔導隊』の副隊長と言うことが判明した」
「それ本当なの? 裏切り者とかじゃなくて? 一応ここって王国の中心部だよね。警備とか厳しいはずだけど……」
「ああ、警備は確かに厳しかった。だが、イーゼンセン帝国はそれを上回る精鋭の1番隊~3番隊の戦力を投入、手も足も出させずエールテス王国の警備兵を殺して、もうすぐここに全員集結するらしい」
「人数はどのくらいなの?」
「50人らしいぞ。全員暗殺スキル持ちらしいから、油断しているとざっくり首を狩られるから気をつけろよ」
そんな会話をしていると、5人の暗殺魔導師が扉を破壊して入ってきた。
「なっ…… アルカレ副隊長、キフィーロ副隊長! 大丈夫か!?」
「スタロイテ隊長、申し訳ない。エールテス王の暗殺に失敗した」
「隊長申し訳ありませんわ。王の側に私たちの接近を察知できる有能な者が居まして、その者に阻止されてしまいました」
「それは誰なんだ?」
「「この子です!」」
そう言って赤帽子のアルカレと黄帽子のキフィーロが俺の方を向いて指を差した。それを聞いた隊長のスタロイテは、こちらをじっと見つめた後……
「よーし! お前たちはエールテス王と他の3人を殺れ。俺はアイツを殺る」
「「「了解です! 隊長」」」
そう言ってスタロイテは、俺に向かって魔法を放ってきた。
「くたばれ! 『
超高温の青い炎が迫ってくると同時に、地面を砕く程の爆風も伴うこの魔法をまともに喰らえば消し炭になってしまうかもしれない。これを防ぐには、あの魔法を全力で放つしかないだろう。そう思った俺は、その魔法を全力で放った。
「『
闇と氷が融合し、その2つの属性の相乗効果によって増大した威力が青い炎と爆風を打ち消し、更にスタロイテにダメージを与えた。
「最上級魔法がこうもあっさりと…… 貴様は一体……」
「たまたまエルテス様に呼ばれてた冒険――」
俺がスタロイテに向かって名乗ろうとした時にユーラの悲鳴と、悔しがる男の声が聞こえた。
「ちっ! 急所を外したか。だが、この剣に込められた壊魔の呪いの力があれば、持って30分ってところか」
その声がした方に振り向く。すると、どす黒い霧に包まれた剣で斬られたユーラが、その霧によって苦しむ姿が見えた。
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