第21話 フォレスタス観光

 ギルドに着いた俺とユーラは、先に待っていたゼナと共に練習場に行ったが、全て使われていたので先に使っていた人が全員出てくるまで待っていた。


「いや本当ビックリしたぞユーラ嬢。待ち合わせ場所でシャルナ嬢を待っていたら、見たことない嬢ちゃんに話し掛けられたと思ったらそれが実は容姿を偽装していたシャルナ嬢だったなんて」


「実はルナ、私たちと出会う前にこの町の魔導防衛隊と一悶着あったみたいで、警戒してるんですよ。何があったかと言うとですね……」


 俺がルスマスたちに言ったことをそのまま同じ風にユーラが説明をした。すると……


「成る程。この町の上空で騒いで目立ったせいで、住んでた塔に魔導防衛隊の2人が来ていきなりそんな事言われた後、断ったら殺しにかかられたと。うーん…… 話を聞く限り、どう考えても都合の良い奴見つけたからそれを口実にシャルナ嬢を道具として連れてこうとしたとしか思えないな。町に対して何かやらかした訳でも無いことからそう思った」


「やはりそうだと思いますか。ここに居る間は気をつけて居ないと駄目ですね」


「そうだな…… で、ユーラ嬢。その魔導防衛隊の2人だったか? ソイツららしき特徴の男と女がさっきからこっちをチラ見しているが、だとしたら不味いのでは?」


 ゼナがそう言ったので俺もユーラと一緒にチラ見をしたら、見覚えのあるあの2人、バルツとシルバードがこちらをチラ見していたのだ。偽装レベルが低すぎて疑われてるのか、それとも偽装を見分けられるスキル等でもうバレているのかは分からないが、不味い事になっているだけは確かだ。


「どうすんのコレ……」


「剣メインで手合わせして、氷と闇属性魔法、一応水属性魔法も使わなければ大丈夫じゃないか? この場で逃げても逆に怪しいだけだと俺は思うぞシャルナ嬢」


 ゼナに言われるまで、最初は手合わせを中止してこの場から逃げれば良いと思っていた。だが、あからさまに怪しい行動をすれば疑惑が確信に変わる可能性が高いのも確かだ。ここは予定通り、手合わせをやることにしよう。


 そう決めて待つこと30分、最後に使っていた人がりやれるようにと出て行ったので俺たちが入る。その後待ってる他の人たちが1人も入って来ないのでどういう事かと思い聞いてみると、巻き添えの心配をしないで思い切1時間程貸し切りにしてくれたらしい。


 今回に限っては貸し切りではなく一般開放のままの方が目立ちづらく良かったような気がするが、後の祭りであった。


 そうして剣の打ち合いと、魔導書を読んで覚えた風と土属性の中級魔法を駆使して手合わせをすること1時間、貸し切り時間も終わって他の人が入ってきた所でおしまいにした。


「シャルナ嬢、今日はありがとう。お陰で俺も収穫があった。あの『剣流つるぎながしかまえ』って技、かなり厄介だったから俺も会得すれば対人戦で剣の打ち合いする時にかなり有利になるな」


「こちらこそありがとう、ゼナ。お陰で楽しかったよ! じゃあね!」


「それは良かった。また今度もお願いするからよろしく頼むぞシャルナ嬢」


 そしてお互いに挨拶を交わし、ギルドを後にした。そしてこの後の予定を全く立てていない事に気づいたので、これからどこで何をしようかと考えていると。ユーラが話しかけてきた。


「ねえ、ルナ。これから一緒に何か食べに行ったり洋服を買ったり色々しながら町歩きしたいんだけど、どう?」


「行きたい! せっかくこの町に来たんだから、楽しまないとね! あ、でもちょっと待ってて」


 バルツとシルバードの2人が後をつけに来ていないか確認する為に『完全探索パーフェクトサーチ』のスキルを使用した結果、後をつけられてはいないようだった。容姿偽装に加え、手合わせの際に戦闘スタイル等を変えてみた甲斐があったのかもしれない。


「お待たせ、ユーラ。じゃあ行こう!」


 あの2人に邪魔される心配も無くなったので、町中を歩きながら買い物や食事等をユーラと一緒に楽しむことにした。


 まずは、野菜と肉で有名な店に立ち寄って俺は飛竜のステーキを頼み、ユーラはフォレスタス特製チーズグラタンにポテトサラダを頼んで食べた。飛竜の特に美味い部分の肉を使っているらしく、柔らかく脂がのっていてとても美味しかった。


 ステーキを食べ終えた時にまだ食べ終えていなかったユーラの方を見ながら待っていると、スプーンにグラタンをすくって口の前に持ってきていた。俺がグラタンを食べたがっていると思ったみたいだ。そう言う訳ではなかったが、せっかく食べさせてくれるらしいので、差し出されたグラタンを頬張る。上手いこと言えないが、とにかく美味しかった。


 そんな事をしながら食べ終わった後は、洗浄魔法と消臭魔法で綺麗だが未だに服が1着しかないので、俺の服を買うついでにユーラの服探しをする為、洋服店に足を運ぶ。例によって何を選べば良いのか分からない俺の代わりにユーラが選んでは着せ、選んでは着せを何分も繰り返した。


 結果、魔法使い風の服を3着とワンピースに酷似した服2着にフード付きの子供服を1着、合計6着の服と下着類数着を購入した。恐らくこの護衛依頼中は着ることは無いだろう。


 その後、町中を話しながらのんびり歩きつつ宿に戻る。そして宿の自分たちの部屋に戻った後は、約5日ぶりのユーラからの吸血と言う至福の一時を過ごした。今回はちゃんと防音対策をたててあったので邪魔される事なく最後まで終える事が出来た。


 何故か前回よりも幸福・快感が強まっていた為、回復魔法をユーラに掛ける前に眠気が来てしまい、吸血体勢のままお互いに寝てしまった。その為、皆で夕食を食べようとエーシェ冒険団の賢者ネルが俺たちを起こしに来たときにバッチリ見られてしまい、夕食の際の話題となってしまうと言う精神的拷問を受けることとなった。


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