第9話 無限コンビニ(中)
「自分と相手。双方の実力を見誤ると怪我をするのは自分だと、大前提がそもそも理解出来ていないようね。――
アスファルトで出来た壁が四枚、周囲から立ち上がり彼を取り込んで3m近くまで延びる。
……ふぅ、一安心。と、思った瞬間。
風が渦を巻いてアスファルトを粉々に打ち砕く。風の魔法!?
――土は水を吸い込む。だから水の魔法は土に飲み込まれる。
――水は火を消す。だから火の魔法は水に打ち消される。
――火は風で勢い付く。だから風の魔法は火に取り込まれる。
――風は土を削る。だから土の魔法は風にそぎ取られる。
4エレメントの4すくみ。どうやらキチンと属性を理解して使ったらしい。
「魔法使いか。まぁ良い、僕はそう言う準備だってぬかりない」
彼の右手に握られているのは一降りの
「キミのように聞き分けの悪い子は、お仕置きが必要だね。僕は本当はやりたくないんだ、次からは聞き分けてくれよ?」
彼は持っていたタクトを
――パーンっ! 辛うじて間に合った結界が水の玉を水蒸気へと還元する。
「
私の放った風のブーメランが彼の右手を狙って飛ぶ。
風の渦で右手の自由を奪えば終わりだ。
しかし、目で見えるほどに空気が凝縮したブーメランは、彼の眼前で形を無くしただの空気へと帰る。
「
「結界師の上に
事前情報と違う。フィジカル、マジカル両方の防壁を張ることが出来るらしい。
「キミに会えて本当に嬉しいよ」
そして口にする言葉が全てが、いちいち気持ち悪い。
……これも事前情報には無い。
「うるさい! 既に執行対象である以上、私の許可無く口を開くなっ!」
マジカルブロッカを張ったところで私にはどうでも良いことなのだ。
エア・ブーメランを弾かれた時にわかった。
明らかに力の差がある。
だから私は休むこと無く砂の散弾を放ち、土の塊をぶつけ、泥の縄を足に巻き付かせ、車止めのコンクリートブロックを地面から剥がして投げつける。
一歩引いた冷静な私は。
――こんなのは魔法戦では無い、みっともない。またお姉様に
と、言うのだがとにかくコイツを無力化すること。
その事しか頭にないしそれ以外は考えたくない。
このキモチワルイやつの動きを、一刻も早く止めたい。
「対魔法の、結界が、……いて。……効かない? ……痛た! ……なんでだ!」
「ただの力の差だから、驚くには値しない。――沈めっ!
アスファルトが剥がれた地面ににさざ波が立ち、彼は地面へと飲み込まれていく。
圧死すると困るので膝より下でストップ。両腕はアスファルトで作った紐で固定した。
「死にたくなければ今すぐ結界を解きなさい。それとも地面で溺れ死にたいの……?」
「ある程度の調整は出来ても止めることが出来ないんだ。――実は僕もここに取り残されて出られなくて、だからキミと一緒なら出られるんじゃ無いかと……」
これだけの大結界、張るだけだって最低数日は要するはず。結局、作ったは良いものの、制御出来ていたわけでは無かったらしい。……全く。
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