第4話 私の味方

七海は凍り付いたような顔で翔平を見つめていた。

「七海?」

翔平は、七海が怒って黙ってしまったと思った。

(いくらなんでも、コスプレじゃあるまいし、怒っているよな)

「…姿。

 見たくないんですか?」

「え?」

今度は、翔平が聞き直す。


「私のセーラー服姿、見たくないんですか?

 確かに、卒業して2年経って更けたかもしれませんし、可愛くないかもしれませんが、見ないで判断するよりも、見て判断したらどうですか?」

セーラー服姿を見たくないと言われた気がして、七海の闘争心に火が付いたようだった。

「い、いや。

 それは、僕だって見たいよ。

 でも、持って来ていないんじゃないの?」

翔平は七海がすでにセーラー服を持ち込んでいることを知らず、また、いつものリュックだけだったので、てっきり持って来ていないと思っていた。


「タンスの引き出しに畳んでしまってあります。

じゃあ、見てくれます?」

七海は上目遣いで翔平の顔を見る。

「お、おお。

 もちろん、喜んで見るよ。

 いや、見せてください。」

頭を下げる翔平を見て、七海は、我に返ったように、恥ずかしくなってきた。

(きゃー、私ったら。

 折角、翔平さんが見なくていいよって言ってくれたのに)

頭を上げた翔平は万遍の笑みを浮かべていた。

(あの喜びよう…。

 やっぱりなしとは、もう、言えないし。

 うぇーん。

 仕方ないか)


七海は、抵抗するのを諦めた。

「笑わない?」

「ん?」

「ちんちくりんでも、笑わない?」

「笑わないよ。」

「絶対?」

「絶対!」

(ふぅ)

七海は小さく息を漏らした。

「じゃあ、少し待っていてくださいね。」


そう言い残し、洋室の洋服ダンスの七海専用の引き出しから、クリーニングの袋に入ったセーラー服を取り出すと、バスルームに持って入ったが、すぐに、七海はドアから出てくる。

「?」

どうしたのかという顔をした翔平に向かって小さく「おトイレ」というと、七海は、そそくさとトイレに入っていった。

そして、再びバスルームに入ると、七海はセーラー服に着替え始める。

(あはは、あの頃は、身体もパンパンだったから、セーラー服も緩いぐらい。

 スカートも締めなくっちゃ。

 白のハイソックスなんて、なんて懐かしいんでしょ。)

七海はセーラー服を着て、整え始めると、自分の世界に入って行った。


(髪型はどうしようかしら。

 あのころは、ツィンテールにしてたっけ。

 どれどれ)

七海は両手で髪を掴み左右に分けて持ってみた。

(うーん、何か子供っぽいなぁ。

 垂らすのも重そうだし。

 やっぱり、ポニテにしよう)

髪をポニーテールにして、赤紫のスカーフを襟の下で結わき、完成。

七海は洗面所の大きな鏡の前で、後ろ姿を確認したり、ポーズを作ったりしていた。


「長いなぁ…」

七海がバスルームに入り10分以上が経過し、翔平は待ちくたびれてソファーの上にだらしなく座っていた。

 

するとドアが開く音がして、バスルームのドアから七海が顔だけ出す。

その顔は朱みが差し、恥ずかしそうに伏目がちだった。

「翔平さん、笑わないでくださいね。

 絶対に、笑わないで。」

七海がそう言うと、翔平は飛び上がるようにしてソファーの上に正座し、興奮した声で

「しない、しない。

絶対にしない。」

と言いながら頷いて見せた。


「絶対ですよ。

 じゃあ。」

そう言って七海はバスルームのドアから出て翔平の前に立った。


「す、す…。」

(すげー、まるでリアルJK!!

 しかも、超可愛い!!)

翔平は、あまりに圧倒されたのか、言葉が出なく、唖然として七海を見つめていた。


「なにか変ですか?」

七海は、翔平の反応をどう捉えていいのかわからずに、困惑した顔をしていた。


「いや、変じゃなくて。」

「じゃなくて?」

「超かわいい!!」

「ほんと?」

うんうんと翔平は思いっきり首を縦に振る。

可愛いと言われた七海は、悪い気がしなく、それどころか嬉しくなって、後ろを向いたり、スカートの裾を掴んでヒラヒラとはためかせたりして見せる。


「すごく可愛いし、綺麗だ。」

翔平はそう言って立ち上がると七海の方に歩み寄る。

七海は手を後ろに組んで、恥ずかし気に翔平が来るのを待つ。

翔平は七海の前に立つと、ゆっくりと両手を広げて、優しく七海を抱きしめる。

七海の身体は、いつもより一層柔らかく感じた。

そして七海の首筋からは翔平の好きな七海の香りがしていた。

「七海、もう一度見せて。」

翔平は、手をほどき、一歩下がって七海のセーラー服姿をじっと見る。

「本当に、可愛いよ。」

七海は嬉しそうに小さな声で「ありがとうございます」と答える。


翔平は、再び七海を抱きしめると、七海の唇を探す。

七海も顔を上げると唇に翔平の唇が触れるのを感じ、翔平の首に腕を回し、抱きつく。

そのまま、二人はお互いの唇を求めあっていた。

少しすると、翔平が、七海を抱きしめていた腕をほどく。

「七海。」

そう言うと翔平は七海の横から右手で七海の背中を支え、左手で七海の膝の後ろに手を入れると、軽々と抱き上げる。

七海は、翔平の首に腕を回したまま、顔を翔平の胸に埋める。

(おや?

 今日はやけに積極的かな?

 じゃあ、とことんじっくりといかせますか。

 でも、本当に七海のセーラー服姿は可愛いな。)

翔平は七海のセーラー服姿とその下から立ち昇って来る女性の香りに興奮のボルテージがいやおうなしにも高まるのを懸命に隠し、努めて冷静な顔をしていた。


ゆっくりと七海をベッドの上に運ぶと、そっと、ベッドの上に七海の身体を降ろす。

そしてそのまま、七海の唇に自分の唇を重ね、舌を絡め、時間を掛けお互いを求めあい、唇を七海の首筋に這わせると七海はベッドのシーツを後ろ手に掴んでいた。

翔平は上半身を起こすと、両手をセーラー服の下から差し込むようにして、七海の胸を触る。

七海の胸は予想していた通り柔らかかった。

翔平は両手で胸を優しく揉んだ後、左右の脇に手を滑らすようにずらし、そして、おへその辺りまで弓を描くようになぞって行く。

おへその辺りまで来ると、今度は逆に腋の方になぞり上げ、そして、やさしく乳房を揉む。

また、その間におへそから脇腹に掛けても優しく手の指の腹でなぞるように触る。

特に脇腹は、最初はくすぐったがっていた七海だったが、何度か繰り返していくうち、顔が興奮で上気し始めていた。


翔平は、両手を戻し、スカーフをほどく。

次に、袖のスナップボタンを外す。

しかし、セーラー服を脱がせたことはなかったので、そこで戸惑っていると、七海が小さな声で、「脇にあるファスナーを一番上まで開けて」と囁く。

翔平は頷き、言われた通り左の脇から下まであるファスナーを引き上げ、開ける。

ファスナーが開くと「襟元にスナップボタンがあるから外して」と囁く。

翔平は言われた通り襟元を探るとスナップボタンで襟と襟カバーをつないでいたので、それを外すと、胸元が大きく開いた。

「そうしたら、上に持ち上げて脱がしてください」というと、七海は小さく万歳するように手を肘から上に持ち上げる。


翔平は、まず七海の左手をセーラー服の上着から優しく出していく。

次に右手。

七海の両腕をセーラー服から出すと、セーラー服の上着は肩のあたりまで捲れあがていた。

翔平は下から手を差し込み、七海の背中を持ち上げるようにして、セーラー服をずり上げ、頭から優しく脱がす。

上着を脱がすと、七海は胸の下着だけになり、翔平は鎖骨の辺りから、腋に掛けてキスをして、舌を這わせる。


翔平は身体の位置を七海の下にずらし、今度はスカートの中に手を入れ、両脚の腿の外側を優しく撫でると、両手で片方の腿を交互に、その外側と内側を優しく触れる。

特に腿の内側は膝から腿のつけ根のあたりまで、優しくマッサージでもするかのように、撫であげていく。

七海は最初、両脚に力を入れていたが、“ふぅ”と息を一つ漏らすと、力が抜けたようだった。


そして、翔平は、七海のスカートに手をかけ、ホックを外し、ファスナーを下げると、そっと七海のお尻を持ち上げるようにして、やさしくスカートを降ろすと、七海は下着だけの姿になった。


翔平も、上に来ていたブラウスやTシャツを脱ぎ、また、ジーパンを脱ぐと、パサという洋服の擦れた音とともに、ふわっとした風が七海の顔をくすぐる。

七海は何かと思い、風の来た方向を見ると、その先には、ベッドの頭の部分にある少し高い柵にセーラー服の上下が掛けられていた。

「あっ」

七海は、ベッドの下ではなく、上に、しかも表裏を直し、しわにならないように掛けてある自分のセーラー服を見ると、胸の奥が熱くなるのを感じた。


(そう言えば、翔平さん、いつも脱いだ後の私の服を地面には置かずに、椅子やソファアの背もたれのところに掛けてくれていたっけ。

私のセーラー服、良かったね。

大事にしてもらえたよ。)

七海のセーラー服の横には、翔平の着ていたものもかけられていた。

(よかった。

二人、仲良しで)

何気なく思うと、パシャッと水槽で金魚の跳ねる音が聞えた。


翔平はいつの間にか下着も脱ぎ、全裸で七海の脚元に胡坐をかいて座ると、その足の上に七海の両脚を乗せる。

その姿勢では、七海の脚が開くので、七海は恥ずかしそうに自分の両腿を合わせる。

翔平の眼下には、小柄で細身だが、胸や腰と女性らしい部分には丸みを帯びた身体に、薄い水色の下着だけを身に着け、恥ずかしそうに目を伏せている七海がいた。

七海は、裸になると余計に手や脚の長さがバランスよく、全体的にスタイルの良さが際立つようだった。

しかも、可愛らしい顔が恥ずかしさからか、それとも先に翔平に愛撫され興奮しているのか、顔が少し赤らみ、上気しているようで、女性らしい色気をにじませていた。


翔平は身体をずらし、七海の横に動き七海の耳元に口を寄せる。

「七海、かわいいよ。」

七海の耳元でそう呟くと、そっと七海の耳たぶを優しく噛む。

七海は、ぶるっと震えたようだった。

それから、翔平は優しく七海の下着を脱がせ、顔から肩、胸、腋、そしてわき腹からお腹と時間を掛けて優しく手で撫でたり、口や舌を使って優しく刺激する。


途中から、手を七海の脚の間に滑り込ませ、七海の女性を優しく刺激し、また、指で中も刺激していく。

七海は目を閉じたまま、無意識に体を捻じったり、腰を動かす。

七海は、十分に興奮しているせいか、何度か小さく体を震わせ、その度に、小さく息を漏らしていた。


翔平は七海の脚の間に下半身を割りこませ、七海の両方の足首を掴むと、その足首を自分の肩に載せ、七海のふくらはぎを優しく撫で、キスをする。

七海の方を向くと、七海の女性が濡れて光っているように見えた。

翔平は、七海の脚を降ろすと、身体を七海の方に倒し、七海の女性の中にゆっくりと男性を挿入していく。

(温かい。

 それになんて柔らかいんだ)

七海の女性自身は柔らかく、十分に濡れていたので、翔平は何の抵抗もなく奥に入って行くことが出来た。


奥まで男性を挿入すると、翔平は一旦動きを貯め、七海を抱きしめる。

(翔平さん、来てくれた…)

七海も、翔平を感じると、翔平の体にすがり付くように手を回し、小さく身体を痙攣させる。

そして、翔平はゆっくりと浅く深くと腰を動かし、また、時に七海の腰を持ち上げて、深く挿入していく。


腰を動かしながらも、七海の身体、特に七海が感じている部分に手や口で集中的に刺激を与える。

(あ、ああ…)

数十分も翔平に優しくされ、七海は気持ち良さから身体の中が燃えるように熱くなり、何も考えられなくなってきていた。

そして眉間に皺を寄せながら、夢中になって、翔平の身体を探し、しがみつく。

翔平は、七海の両脚を持ち上げると、より深く深く挿入を繰り返す。

(も、もう…)

七海は一気に爆発したように身体を痙攣させる。


そして、薄らいでいく意識の中で、七海の中に翔平のすべてが流れ込んでくるのを感じると、自分の奥深くまで受け入れるように翔平の体により強くしがみつき、両脚で翔平を挟み込む。

そして、翔平の全てを受け入れたと感じると、力を抜き満ち足りた気持ちになっていた。

(なんて、いい気持ち…)

そして、七海は夢の住人になっていく。

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