第6話 2度目のキスから、やさしく

時計は、すでに午後2時30分を回っていた。

「さあ、じゃあ、夕飯の買い物に行きましょう!」

「僕は大丈夫だけど、七海は大丈夫なの?

 ずっと動き続けていないか。

 休憩とか、しなくて平気?」

七海は食事をしたせいか、翔平が驚くほど元気があった。


「大丈夫ですよ。

 じゃあ、少し待っていてくださいね。」

そう言うと七海は洋室のクローゼットから洋服を取り出し、バスルームに入って行った。

少しすると、水色のストライブの入ったワンピースを着た七海が出て来た。


ワンピースは、翔平の注文だったが、さすがに家事をするときはワンピースではやりにくいという七海の希望で、買い物や家事以外の時に着ることになっていた。


細身で小柄な七海だが、胸の膨らみや腰回りの丸さがわかり、ワンピース姿が良く似合っていたので、翔平を満足させていた。


ワンピースは、七海と翔平で買いに行き、二人の意見のあったものを選び、当然、翔平の財布から出していた。

七海は、家や学校ではジーパンが主流だったのと、翔平のお金で買ったものだからと、持って帰って普段にも来たらと言う翔平に、ここに来た時だけ着るからと、いつも翔平のクローゼットに入れていた。


七海は、着替えの時下ろしていた髪をかき上げ、ポニーテールを結わきなおすと翔平の方を向いて「どう?」と言わんばかりの顔をして微笑んだ。

「最高!!」

翔平は万遍の笑みに、グーサインを七海に送った。


(まったく、このひとは何を考えているのだか)

七海は嬉しそうな翔平の顔を見て、喜んでくれているという素直に喜びたいが、ワンピースマニアというマニアックな面を思うと、もろ手を挙げて喜べないところだった。

(今日は、暑いからストッキングとくるぶし丈の靴下。

 あ、スニーカーだった…。)

そう思っても七海はエナメルの靴を持っていなくて、買うかどうするか迷ったが、翔平の家までの坂道を考えるとスニーカーがいいと勝手に納得していた。


「じゃあ、行くか。

 車を出そう。」

「え?

 今日は坂の下の商店街でどうですか?

 時間も遅いし、洗濯物もあるので。」

「そうかぁ。

 まあ、七海が言うなら、それでいいよ。」

「はい。」

七海は、いつでも自分希望を優先に聞いてくれる翔平が好きだった。


二人はマンションを出て、坂道を下り商店街に入って行った。

「えっとぉ、足りないものは、パン、卵、牛乳、チーズにハム、野菜に果物、それと…。

 翔平さん、今晩何が食べたいですか?」

「え?

 そうだな…。」


翔平は七海の買う物の話を聞き、買う量を想像し、車で来なかったことを少し後悔し始めていた。


「レバニラ!」

「え?

 レバニラって、レバーとニラの炒めたものですか?」

「そうだよ。

 七海は嫌い?」

女性によってはレバーのような独特の味がするものを嫌がるタイプが多いことを知っていたので、七海が嫌がったらやめるつもりだった。


「いいえ、私、大好きです。

 でも、翔平さんは意外です。」

「え?」

「だって、いいところのお坊ちゃまっていう感じで、レバニラなんて庶民的なものを…痛い。」

翔平は右手で拳をつくり、優しく七海の頭を叩いた。

「いいところのお坊ちゃまは余計だって。」

翔平の苦笑いを見て七海は小さく「ごめんなさい」と言って舌を出した。


(でも、あんなに豪華なマンションに一人暮らし。

 いいところのお坊ちゃまには違いないわね。)

七海は、自分との格差を感じ、翔平に気取られないように小さくため息をついた。

翔平は七海のため息に気が付かないように話を続ける。


「この前、テレビのコマーシャルで、『ハイボールを飲みながら君の作ったレバニラを食べるなんて、何て贅沢何だろう』ってやっていてさ。

 それを見て、食べたくなった。」

「じゃあ、ハイボールも?」

「ああ。

 でも、炭酸は買って冷蔵庫に入っているし、ウィスキーも買ってあるよ。」

「だから、冷蔵庫に炭酸水がいっぱいあったんですね。」

(そういうことは、なんて用意がいいんだろう。

 この人は…)

半分呆れる七海だった。


七海は今度の誕生日で21歳、お酒もまあまあ飲め、翔平の晩酌の付き合いもしていた。

「七海は、何が食べたい?」

「私ですか?

 私は麻婆豆腐かな…。」

そう言いながら七海の目に特売のナスの山が飛び込んで来た。


「今晩は麻婆ナスにしましょう!」

「お、いいね。

賛成!!

じゃあ、ひき肉に長ネギも買って。」


その後、二人は商店街を歩き回り、結局、パンパンに物の入ったスーパーのレジ袋を両手に持ってふうふう言いながら坂道を上がる羽目になった。

「翔平さん…、今日は…ごめんなさい…。」

息を切らせながら七海が翔平に話しかける。

「え?

 何が?」

「いえ…、一週間分と…言っても…、一万円…近く買わせちゃって…。」

「まあ、仕方ないさ。

 さすがに商店街で一万円近くだと、この量になる訳だけど…。

 でも、最後にまさかカステラみたいなお菓子にまで手を出すとは、思わなかったよ。」

「えー、ごめんなさい。

 でも、あのお菓子、中にチョコレートクリームが入っていて美味しいんですよ。」

「そうか、なら良しとしよう。

 僕の分もあるし。」

ふくれたり笑ったりコロコロ変わる七海の表情を見て翔平は白い歯を見せて笑った。


マンションにたどり着き、二人は翔平の部屋に戻ると、荷物をキッチンに運び入れた。

「ふう、やっぱり疲れたな。」

翔平は、背伸びをしながら声を上げると、七海は明るい声で「お疲れさまです。」と、翔平の労をねぎらった。

坂道を上がるときは息を切らしていた七海だが、翔平の部屋に戻ると、すぐに元気になっていた。


時計は午後4時を回っていた。

「洗濯物と取り込んで、買ぉてきた食品を冷蔵庫に入れんと!」

七海は大きな声を上げ、ベランダに出ようか、冷蔵庫の前に行こうか迷っているみたいに、その場でオロオロしていた。


「七海、僕が洗濯物を入れるよ。

 冷蔵庫に仕舞うのをお願い。」

翔平は、笑いながらベランダの窓を開けた。

「す、すみません。

 じゃあ、お願いします。」

七海は、家政婦としての立場から、洗濯物を翔平に取り込ませるのに引け目を感じたが、冷凍食品など冷蔵庫に入れなければいけないものが沢山あったので仕方なしに、翔平に手伝いを頼んだ。


それから、二人は手分けをして家事に没頭していたが、七海は冷蔵庫に買ってきたものを仕舞いながら、横目で洗濯物を取り込んでいる翔平を見ていた。

翔平は敷き閉まった体で、タオルケットやシーツなど大物を軽々と洋室のベッドに運んでいた。

翔平はTシャツを着ていたが、七海にはそのシャツの下の引き締まった翔平の肉体が手に取るように頭に浮かび、その体に抱きしめられている自分を想像しただけで、身体中が熱くなるのを覚えた。


洗濯物を取り込み終わった翔平は、七海の方に近づいて来る。

七海も、ほとんど冷蔵庫に仕舞い終わっていた。

「七海…。」

翔平が声をかけると、七海は翔平に背を向けたままビクッとして背筋を伸ばした。

「し、翔平さん。

 あとは、調味料とか、仕舞うだけです…。

 私、おトイレに行ってきたいんですけど、いいですか?」

七海の声は、どことなく緊張したような声だった。


「え?

 ああ、いいよ。

 行っておいで。

 あとは、僕がやっておくから。」

「す、すみません。」

七海はそう言うと、そそくさとトイレに入った。

トイレは、浴室とは別に独立していて、内緒の部屋の向かい側にあった。

中は広く清潔で、今どきでは当たり前になった最新のウォシュレットが付いていた。


翔平が、スーパーの袋に残った調味料などを片付け、スーパーの袋等の後片付けを済ませた頃、七海が「すみません」といいながらキッチンに戻って来た。

七海は、最期の片づけを翔平にやらしたことに謝っていたが、態度はどこかしら、ぎこちなかった。


「ああ、大丈夫だよ。

 ちょうど全部片付いたところだから。

 …。

 少し休憩しよう。」

翔平も七海につられたのか、どことなくぎこちなかった。


「は、はい…。」

七海は翔平の横をするり抜けリビングの方に歩き出した。

七海が横を抜ける際、七海のいい香りが翔平の鼻をくすぐった。

それが、翔平のスイッチをオンにする。


「七海。」

翔平は七海の後を追って、後ろから七海を抱きしめると、七海の左側の首筋に唇を這わせる。

七海は、黙ったまま、首を右に傾げる。

七海の首筋からは、甘いような何とも言えない香りが立ち昇り、翔平は夢中で唇を這わせたり、吸ったり、そっと噛んだりしていた。


それから、顔を起こすと、翔平は七海の肩に手を置き、自分の方に振り向かせる。

振り向いた七海の顔は上気し、目も潤んでいた。

「七海…。」

翔平は、七海の名前を呼ぶと、そっと唇を合わせ、一度唇を離すと、今度は七海がつま先立ちで翔平の首に腕を回し、唇を合わせ、そしてどちらからともなく、そっと舌を絡め始める。

翔平も、七海の背中に手を回し、しっかり抱きしめると、強引にではなくあくまでも七海の舌を優しく吸うように絡めたり、また、七海も同じように翔平を求めたり、時間を掛けて、お互いを確かめ合う。


七海がつま先立ちをしているせいか、翔平が七海を少し押していくような形で、二人は少しもつれるようにじわじわとリビングのテーブルに近づいていく。

そして、七海の背中がテーブルに当たると、翔平は唇をそっと離し、七海を抱き上げ、テーブルの上に座らせ、七海の両脚の間に身体を入れ、正面から七海の首筋に唇を這わせ、優しく吸ったり、舌で刺激をし、空いている片手で七海に胸を優しく触る。

ワンピースの上からだが、七海の胸は十分に柔らかだった。


七海は顔を半分のけぞらせるように、じっとしていたが、小刻みにポニーテールの髪が揺れる。


翔平は次に、そのままの位置でしゃがみ込むと、七海の両脚を開かせ、ワンピースの裾を少しまくり上げ、その奥に顔を埋めた。


「し、翔平さん、私、汗臭い…。」

七海は続けて何かを言いかけたが、翔平が七海の太ももの付け根の辺りを唇で触れていたので言葉を飲み込んだ。

下着越しに左右の太ももの付け根に何度か吸い付いたり、舌を這わせ愛撫したあと、翔平は、そっと七海の下着を脱がす。


「汗臭いなんて…全く平気だよ…。」

下着の下の七海は、ほのかに石鹸の香りがする以外、何も匂いは感じなかった。


七海の両脚を、自分の肩に置くと、丸見えになった七海の女性の部分に口づけをすると、しばらくの間、優しく七海の女性の部分を舌と指で時間を掛けて愛撫していた。

七海は途中から翔平の頭を抱くように身体を丸め、翔平の耳には、七海の荒い息遣いが聞えていた。


翔平は立ち上がり、七海を立たせ後ろ向きにすると、七海は両腕折りたたむようにしてテーブルの上に上半身をうつ伏せにして、恥ずかしいのか顔を腕に埋める。

翔平はワンピースの裾のまくり上げ、足を少し広げさせ、七海の可愛らしく形のいいお尻とと女性の部分を丸見えにすると、自分もジーパンと下着を脱ぎ、翔平の男性部分を右手で支えながら、ゆっくりと七海の中に入れていく。


七海の女性の中は、温かく、そして柔らかく、何の抵抗もなく翔平の男性を受け入れていた。


七海は顔を伏せたままなので、どういう顔をしているのかわからなかったが、七海の両手は拳を握り、その握った拳に力が入っていた。


翔平は、自分の男性を根元まで七海の中に入ると、まるで感触を感じるように、しばらくそのまま動かさずいた。

(翔平さんが、私の中に…。

 声が、漏れそう…)

七海も翔平の男性を感じていた。


翔平はやさしくゆっくりと自分の男性部分を動かし始める。

翔平は七海を決して手荒く扱わず、浅く、また、深くとゆっくりと七海に違う刺激を与えていく。

七海も無意識で、その翔平の動きに合わせるかのように腰を動かしていた。


翔平は腰を動かしながら片手で七海を支え、片手で七海のワンピースのチャックをはずし、さらにその下のブラジャーのホックを外す。

そして今度は両手で、背中から七海の柔らかな胸を手で包み込むようにして揉む。

七海は胸の辺りだけ持ち上げるようにして、翔平を助けているようだった。

翔平が七海の乳首を触ると、七海の乳首は既に固くなっていた。


翔平は、七海の胸を揉んだ後、乳首に刺激を与えながら、背中に舌を這わせ、腰を動かす。

七海は気持ちよさから何度か波に襲われ、目の前が真っ白になって来る。


翔平は、七海を再び立たせ、ワンピースとブラジャーを脱がせ、裸にする。

七海は、何度かの波に襲われ“とろん”とした顔で、真っ直ぐに立っていられない状態だった。


翔平は、そんな七海をしっかり抱きしめ、そっとテーブルの上に仰向けで横にすると、自分の服も脱ぎ裸になり、七海に覆いかぶさり、七海の胸に唇を這わせ、乳首を吸い込み、口の中で転がすように愛撫する。


(声に…なら…へん…)

七海は、気持良さで、右手を口に添え、顔をのけぞらせる。


窓から入り込んだ海風が、七海の髪を撫でる。

七海は風に撫でられているのを、翔平に撫でられているかのように感じていた。


翔平は、七海の両脚を肩に載せると、今度は正面から七海の中にゆっくりと挿入していく。

あまりの柔らかでそのまま一気に入りそうになったが、翔平は七海を決して手荒に扱うことなく、優しく愛おしそうに腰を動かす。


次に、七海の脚を肩から外し、七海の背中から頭に掛けて手を差し込み、テーブルの固さから七海の背中や頭を守るようにしながら、腰を動かす。

いつの間にか、七海は両脚を翔平の腰に絡ませ、手を翔平の背中に回していた。


(翔平さん…。

 私、もう…)


そして、七海は大きな波に襲われ、身体を痙攣させると、翔平はそれに呼応するように、全てを七海の中に注ぎ込んだ。

七海は消えて行く意識の中で、翔平のすべてが自分の中に流れ込んで来たことを感じると、安心したように眠りに落ちていった。


「うーん。」

暫くして、七海は目を醒ますと、ソファのような大きな座椅子の上に寝かされ、身体が覆い隠せるような小さめのタオルケットが掛けられていた。

その大きな座椅子は折り畳み式で大人二人がゆったりと並んで座れ、リクライニングにすればゆったりと寝転がれる大きさで、翔平が座ったり、寝転んでくつろぐために買ったものだった。

その上で七海は、まるで猫のように身体を丸めて気持ちよさそうに寝ていた。


(ややわ、うちったら、また寝てもて…

どのくらい寝とったのかしら?)

窓の外は、既に太陽は傾き、ランドマークタワーは夕日で赤く染まっていた。


七海は急いで、時計を見ると、すでに6時近くで、眠っていたのは正味30分ぐらいだった。

(確か、テーブルの上で…。

 その後、翔平さんが運んでくれて…。)

七海は夢うつつの中で、翔平がソファを広げ、七海を抱き上げその上に寝かせると、バスソープの入った温かいお湯を浸したタオルで七海の身体を優しく拭き、そして柔らかなタオルケットを掛けてくれ、その気持ち良さに、再び深い眠りに落ちて行ったことを微かに覚えていた。


体を重ね合わせた後、いつも失神する様に眠ってしまう七海の身体を翔平はいつも優しく綺麗にしてくれる。


そのためか、七海は目を覚ますと、身体が気持ちよく感じ、幸せだった。

(なんて、素敵な人なんやろう…)

七海は、自分のことをとても大事に扱ってくれる翔平に、心の中から歓びがこみ上げて来るのを感じていた。


七海は、タオルケットで身体を隠しながら上半身を起こし辺りを見回したが、翔平の姿はなかったが、バスルームの方から物音が聞え翔平の気配がした。


(翔平さん、シャワーでも浴びているのかしら。

 あ…。)

七海は、下半身に何かを感じ、タオルケットを体に巻き付けながら、そそくさとトイレに入って行った。


そしてトイレから出てくると、いきなり後ろから七海を呼ぶ翔平の声が聞えた。


「七海!!」

「きゃっ!」

いきなり声をかけられ驚く七海を後目に、翔平は、タオルケットを体に巻いた七海を抱き上げる。


「七海、お風呂に入ろう。」

翔平は、七海が寝ている間に湯船にお湯を張り、お風呂の用意をしていた。

翔平は、ジーパンをはいていたが上半身は裸だった。

その逞しい身体に抱きかかえあげられ、七海は恥ずかしそうに頷くと、翔平は、七海を抱きかかえたままバスルームに入って行き、脱衣所で七海を足からそっと降ろす。


「ちょっと、先に入っていて。」

「うん。」

七海は頷くと、身体に巻いていたタオルケットを外し、そそくさと浴室の中に入って行った。


中に入ると、大きな湯船にお湯が入り、翔平と選んだいい香りのするバブルバスの入浴剤の泡がもこもこと泡立っていた。

(翔平さん、うちのために、お風呂の用意してくれとったんや)

家事で汗をかいたり、セックスをした後で、シャワーを浴びたかった七海には、翔平の気遣いが嬉しかった。


七海は、髪を洗い、洗い終わった髪をアップにして結わくと、今度は体に石鹸をつけ、洗い流す。

そして、泡立っている湯舟にそっと入り、足を伸ばしてゆっくりと浸かった。

お湯は熱くもなく、温くもなく、七海には丁度いい湯加減だった。


七海が温かいお湯の中でゆったりと微睡んでいるのを見計らったように、「入るよ。」という翔平の声に、七海は「はーい」と答える。

するとバスルームのドアが開き、全裸の翔平が入って来る。

(翔平さん、素敵…)

七海は口まで泡につかり、上目づかいで逞しい身体の翔平をまじまじと見ていた。


翔平は、七海の視線を感じていたが、気づかないふりをして、七海と同じように髪をシャンプーで洗い、石鹸で身体をさっと洗うと、無雑作に湯舟に入っている七海の背後にまわり腰を下ろす。

七海は翔平が入れるように腰を浮かすと、翔平は七海のお腹の辺りに手を回しで、七海を持ち上げるようにして脚の上に座らせると、七海は大人しく翔平の上に足を伸ばし座り、翔平の上半身に寄りかかった。


「いい気持ち。

 それに、この入浴剤、いい香り。」

七海はうっとりとしながら、身体の力を抜き、翔平に身体を預ける。

「ほんとうだ。

 でも、これで外の景色が見えたらもっといいんだけど。」

「まぁ!

 ここはリゾートホテルやないんやから。」

七海は面白そうに、ケラケラと笑う。

翔平は七海の口調が無意識に関西弁になっているのを、面白そうに聞いていた。


「でも七海がいるからいいや。」

翔平はそう言いながら後ろから七海の身体をマッサージする様に胸や腰、そして太ももの内側に手を這わせる。

七海は翔平の手に触れられ、気持ちよさそうに目を閉じ、されるがままになっていた。


「そうだ!」

七海は何かを思い出したように、身体を捻じると翔平の正面を向き、上半身を湯船から出し、片手を翔平の背後にあるジャグジーのスイッチの方に伸ばした。

翔平の目の前に、七海の形のいい胸が飛び込んでくると、翔平はチャンスとばかりに七海を抱きしめ、七海の乳首を口に含む。

「もぅ…」

七海は少しの間、翔平の好きにさせた後、ジャグジーのスイッチを入れた。


ゴォーン

モーターが回る音がして、少しすると泡が勢いよく浴槽の穴から出てきて、あっという間に泡が盛り上がる。

「うわっ!」

「きゃ、凄い泡!!」

二人は、泡に埋もれながら泡を掛けたり、じゃれ合って楽しんでいた。

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