第37話
リリアーシュ嬢がデビュタントを迎えた9歳の時に、口さがない令嬢たちに囲まれたことがある。その時、リリアーシュ嬢は笑顔で宣言した。
「私は『父上』みたいになります!」
その言葉は令嬢たちを追い払うには好都合な言葉だった。令嬢たちは彼女が『冷酷』を目指していると誤解したのだ。そのため、近くにいたら我が身が危ないと感じた貴族たちがリリアーシュ嬢から離れたのだ。
その日から一部の貴族たちはリリアーシュ嬢を『冷酷令嬢』と
─── なんてことはない。リリアーシュ嬢から引き攣った表情で離れた者たちが義父母やその周囲の『アンテナ』に引っ掛かったのだ。
その不自然な行動を
女性たちは、飽きたら娼館に売られていた。中には殺されて捨てられた女性もいた。
女性を殺して捨てた貴族は爵位剥奪の上、当主と当事者は公開
その他の罪を犯した貴族たちも、法に照らし合わせて収監された。決められた年月を王都の北『
『国外追放』なんて処分はない。悪人を国外に流出させたら、他国に迷惑がかかるからだ。そのため『自国の犯罪者は自国で片付ける』という意識がどの国にもある。さらに国外追放にしたものが機密事項を握っていたり知識を持っていることもある。そんなものを他国が優遇し、貴重な情報を得ようとする。優遇なんてされたら『罰』にならない。その上、情報を流出されるのだ。
古い文献には、それで軍事情報を得た国が他国に攻め込んだ記録がいくつも残されている。ただ、その記録に残されている最終戦争は、周囲の小国をいくつも巻き込んで、多くの国と多数の人々の生命をこの世界から消して終わった。
戦争の混乱で小国のひとつが隣の軍事国家に攻め込まれた。その際に軍事国家が開発した『新しい兵器』が登場した。しかし、その最新兵器は『最終兵器』となった。 ─── 誤作動を起こしたその兵器は大爆発を起こした。大爆発は連鎖し、各国をも巻き込んだ。爆発を起こした火薬の粒子が爆風に乗り世界に広がった。
当時の戦争は魔法によるものだった。
火薬の粒子は生活の火では発火しなかった。そのため気付かれなかった。どんなに小さくても火魔法を使った瞬間に大爆発を起こしてしまい、それが連鎖していった。
今は『魔法を使う際に、空気中に含まれる『エナ』が魔力と反応する。その時に火薬の粒子が魔力と反応して『魔法を使った』状態になった』とまで判明している。そのため、魔法はこの世界から退化した。
同じく武器も周囲の空気を振動させてエナに衝撃を与えてしまうため爆発してしまう。そのため武器も剣などの接近戦か弓、木製の
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