第7話 兵器
こうして俺たちは言ってしまえばまんまと兵器として集められたのだ。
「本当に君たちにはすまないと思う。わかってくれとは言わないだが、今、国が危機にさらされているということはわかってほしい。」
川上は頭を下げた。
「君たちの力をこの国のためにかしてほしい。」
川上は続けて言い放った。
「いや、待って、話が急すぎて頭がついてこない。要は私たちに国のために戦えっていうの?」
一人の女の子が言った。
「簡単にいうとそうだ…」
川上は静かに言った。
「冗談じゃないわよ。そんなんだったらこの学校には入らないわ。」
女の子はそう言うとドアにむかった。
すると突然自衛隊が入ってきてその子を抑えたのだ。
「すまない、それはもうできないんだ。これは国の極秘プロジェクトなんだ、だから内容を知った者をここから出すことは許されない。」
真剣な顔で川上は言った。
(おいおい、はなから逃げ道なんてねーじゃねーかよ…)
「だから私たちは面接を行い、その覚悟があるかを直接的ではないが見極めたつもりだ。
質問に対する答えはもちろん、答えているときの心拍数、表情。そして最後に全員に問いた。「きみは一か月後に死ぬと言われたら今までの人生を後悔するか否か」と」
(確かに聞かれた。おれは後悔しないと言った。なぜなら後悔しても意味がないと思ったからである。)
「さっきまでの私は冷静ではなかった。先生の話を聞いたことによって触れた未知の世界が怖く思えたから、でもその世界は未知ではなく既知のものが変わり果てただけだと今気づいた。」
その女の子は諦めたのか納得したのか落ち着いていった。そして
「お見苦しい姿をみせました。この国の危機を救う手助けができるなら私の人生は本望です。」
その女の子は自分なりに決意の意を述べたのだ。
「本当にすまない。ありがとう。」
川上は安堵の表情を浮かべた。
俺は戦争に行くかもしれないということになんとも思わなかった自分がこわい。
死ぬのは怖いが、知らない世界に足を踏み入れるというのは何とも言い難い快感だった。
20人の高校生が全員が戦争を受け入れたというのは平和な世界に住む人々からすると、とても異常なことに思うだろうがそれは正常な反応でありあなたたちはよく言うと時代に恵まれた人々であり、悪く言うと平和ボケしているのだ。
川上によって今後のカリキュラムの説明がされた。今日はまずリリースを行うらしい。
リリースとはの前に人間は脳が出せる能力の10%しか使っていないと言われている。
残りの90%にはなにがあるのかこれは今まで謎に包まれていたが、日本のある医師が去年偶然あることを発見した。それは数人にある特定の周波数の音を聞かせ脳に振動を与えると今まで活動しないとされてきた脳の一部分が活発に活動したということだった。
日本医師会はこのことを内閣府に報告した。それはある可能性を生み出した。
そう、超能力者の解放である。本来生まれもった超能力があることを原因にふさがってしまった人の能力を解放するというものである。
そうこれがリリースである。
(なるほどだから身体測定で脳波をみられたのか、)
そして俺たちは学校の地下にある部屋にむかった。
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