第6話 世界情勢と壱組
教室に向かう途中、
「わーおんなじクラスだね」などとみんな口々に言っている。
俺、零、栞奈は三人とも運がよかったのか壱組だった。
「三人一緒だね。」
栞奈はホクホクした顔で言う。
「あれ、君たちも壱組かい?」
ハリスがはなしかけてきた。どうやらこいつも壱組らしい。
俺たちは指定された1-1教室に移動する。
(あれ、壱組はやけに人数がすくないな、)
そんなことを思っていると教室についた。
教室はとても広くドアは自動ドアで白を基調としている。前の壁には大きなモニターがはめ込まれている。これが多分昔でいう黒板である。そして机といすが人数分ならべられており、うしろには長机とソファーが二組、観葉植物がちらほらと置かれている。
(ずいぶんとおしゃれだな。)
すると先生が入ってきて俺たちに席につけと促した。俺たちはてきとうな場所にすわった。
全員が座ったのをみはからってから。
「えーさっき話していた壱組担任兼リリース担当の川上慎也だよろしくな。」
川上が緩くはなしをはじめた。
「まず、なぜ壱組がこんだけしかいないのかを説明しよう。さっき言ったようにクラス分けは身体測定によって行われている。ではなぜ三クラスの割り振りが20-20-20ではなく10-25-25なのか。」
川上は淡々と説明し始める。
(たしかになにかそうでないといけない理由があるんだろうな。)
「それはお前たち壱組の10人だけとくべつだからだ。」
「で、なにが特別かだが。それの説明の話めちゃくちゃ長くなるんだよなー、
めんどくさいなー、お前たち気になるか?」
川上はため息交じりに言う。
(いやいや教師がめんどうくさいとか言うなよ、)
「気になる!ききたーい!」
隣に座る栞奈が騒ぎ出した。
(そりゃそうだよな、)
「おー橘元気いいなー。よし、わかった!めんどくさいけど話そう。」
川上は話す気になったらしい。
そこから長い話が始まった。川上が言ったことを簡単にまとめるとこうだ。
世界情勢は日に日に悪化しており、第三次世界大戦がいつ起きても不思議ではないところまだ来つつあるらしい。そして各国は着々と万が一の戦争に向けて軍拡しているのである。
また、アメリカ合衆国と結んだ日米安全保障条約はアメリカ側からの破棄の申し込みがあり日本は言わずもがな首を縦にはふらなかったのだが、アメリカは軍をちらつかせ半ば強引に日本に破棄させたのである。それに伴いいままで日本にいた在日米軍は全員帰国し、そして日本はアメリカ軍の絶大な戦力がなくなった。日本国憲法で戦争放棄を明言しているが攻められたら一巻の終わりである。日本は今非常にまずい状況なのである。
話は変わって世界は金属資源の不足に悩まされている。そのため昔のように戦闘機や戦車をほいほいつくれなくなったのだ。それに加えて科学技術の進歩により従来の兵器はあまり役に立たないいと思われる。そこで2098年のあの科学者たちの発言をきっかけにアメリカはあることをはじめた。
それは武器を持った軍人よりも圧倒的戦闘能力と殺傷能力を持つ人間。
「超能力者」である。
そう、一大国が今まで都市伝説とされてきたことにすがったのである。
結果として何人ものの超能力者を手中におさめた。
それを聞きつけたロシア、中国、イギリスなどなど、多くの国が始めた。
が、日本はでおくれてしまったのだ。
内閣はようやく我が国のおかれている状況の悪さに気づき、つくったのがこの学園だそうだ。
そして合理的に優秀かつ超能力の持つ者をあつめたのだ。
それがこの壱組だった。
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