第4話 試験
高校は徒歩15分くらいと近からず遠からずの位置にあった。
「よし、簡単だと思うけど試験頑張ろうな!」
おれは自分と二人を鼓舞した。
「うん!がんばろうね!」
栞奈は満面の笑みでこたえてくれたが零はスルーである。
(うー零つめたいよ悠くんないちゃうよ?)
入学試験はあくびが出るほど、というかもう開始15分で解き終わって寝られるほどおれにとっては簡単だった。
全科目の試験が終わったあとに面接を受け最後になぜか身体測定が行われた。
ここでは身長、体重、心電図、血液検査、脳波の検査が行われた。これが合否にかかわるのかはわからない。
試験の帰り、おれは周りの受験者たちにクスクス笑われていた。
たぶん俺のことを入試問題がわからなさ過ぎて試験を早々にリタイアしたとんだバカだとでも思ったのだろう。
「おっと試験会場までお散歩とお昼寝ですかー?」
にやにやしながら一人の男が俺に絡んできた。
(うわぁー、チンピラ代表みたいなのでてきた)と思ったが口には出さず無視して横を通り抜けようとした。
すると肩がぶつかった。いや正確に言うとそいつが肩をぶつけてきた。
「おっと、お目目までおバカさんなんですか?そんな生粋のバカにはしつけが必要だなー!」
こういうとチンピラは急に殴りかかってきた。
(まーいざこざになるのもめんどうくさいし一発なぐられて帰るか。)
おれはそう思い無抵抗に立っていると横から手が入ってきてチンピラの拳を受け止めた。
「あ?だれだおまえ?」
チンピラは手をふりほどきながらそいつをにらむ。
零だった。
(え、登場かっこよすぎるだろ、なんなんだよお前、)
「俺の家族に手出すんじゃねぇ。」
零は睨み返しながら静かに言った。
「ふっ、次あったとき覚えとけよ。まぁ入学できればの話だがな。」
チンピラは歯切れが悪そうにまさにチンピラのテンプレのセリフを吐き捨てて帰っていった。
(こいつたぶん落ちたな、、、)
「おい、悠希、試験会場で絡まれるってなにごとだ。相手が雑魚だからっていうのはわかるが、もう少し抵抗しろよ。」「そもそも…」
零にお説教が始まった。
零に二言三言言われたその時
「あっ!いたいた」
むこうから栞奈の相変わらず元気のいい声が聞こえた。
(栞奈ナイスタイミングだ!)
「おー栞奈帰るか!」
零の説教中ではあるけど栞奈を呼び合流すると零も呆れて諦めたのか「たくっ、」と言い、お説教は強制的にではあるが終わった。
そしておれたち三人はたわいもない話をしながら帰路に着いた。
後日俺たちは問題なく高校―国立 鶯音うぐいすのね高等学校―に晴れて入学した。
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