第3話 3人の船出
ここの晩御飯はとてもおいしい。
なんでも照じいは遠い昔三ツ星レストランの料理長をしていたらしい。
照じいは何でもできる。料理に裁縫、勉強にプログラミング、格闘技極めつけに医学までも、、、
とにかくハイスペックなロマンスグレーなのだ。
今日の献立はサラダとポトフにミートスパゲティーだった。
「さぁーみんな集まったことだしたべようか。」
照じいの言葉を合図に
「「「いただきます!」」」
「ほほほ、おあがりなさい」
ニコニコしながら照じいは僕達が食べているのを見渡してから自分も料理に手をつけた。
いやーそれにしてもおいしいあっという間に平らげてしまいみんな自然と顔に笑顔が浮かぶ。
食後のティータイムが始まって少し過ぎた頃。
「あ、そうそうみんな高校に行きなさい。」
照じいはふと言うことを思い出したようでみんなの顔をうかがってから言い出した。
おいおい待て待て、嘘だろ?俺以外の二人も唖然としている。
それもそうだ俺たちは高校レベルいや、科目によっては大学レベルまでの勉強を照じいにすべて教えてもらっており完璧だからだ。
いまさら高校に行く意味がないと心の底から思った。
「ちょっとまって照じい。私たち照じいのおかげでもう勉強することなんて何もないよ?」
最初に言ったのは栞奈だった。
「俺もそう思うなー」「めんどくさいだけだ」
俺と零も栞奈に続いて言うと
「三人とも静かにしなさい。」
照じいの顔から笑顔はもうなかった。
照じいのこの顔を見たのは久しぶりだった。
いつも笑顔を絶やさない照じいから笑顔が消えることはめったとない。
最後に笑顔が消えたのは嫌いな食べ物でもがんばって食べなさいと言われた矢先に三人ともグリーンピースを残したときである。おっと今はそんな昔話に花を咲かせている場合じゃないな。
「いいかみんな、学校というのはただ単に学問を学びに行く場所じゃないんじゃよ。学校は人とのコミュニケーション能力や人脈を養う場所なのじゃよ。みんなの世界はこの箱庭だけじゃろ?だから世界を広げるためにも高校にいくのじゃ。」
照じいはみんなの顔を見て言った。
それにおれたち全員が納得した。
そう僕たちはここから出たことがない。敷地は広いし必要なものは照じいが用意してくれているから出る必要がないのだ。こいつら以外友達といったのもいないしな、、、
「わかったよ。高校行くよ、」
しぶしぶではあるが納得する部分もあるのでおれは行くことに従った。
「しっかり学んできなさい。」
照じいは俺たち三人に笑顔で言った。
「あ、ちなみに、ほかの学校とは一味ちがうぞ。」
照じいはこう付け足しニヤリとする。
「「「???」」」
俺たちの頭にはてなが浮かぶ。
こうして俺たちは想像もしていなかった高校生活が始まることとなった。
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